新車大量投入の「日産」なぜメーカー順位は“5位”? 新型SUV不調が原因か!? 「エクストレイル」が伸び悩むワケ

かつて1位だった「日産」なぜ今は5位になった?

 2023年1月~11月の新車販売台数を乗用車メーカーで見ると、1位はトヨタで、2位はスズキです。3位がダイハツ、4位はホンダで、5位が日産になります。以下、マツダ、スバル、三菱と続きます。 

 この中で注目されるのは5位の日産でしょう。1962年までは日産が国内販売の1位でした。

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 しかし、2008年のリーマンショックで景気が世界的に悪化したことから各メーカーとも新型車の開発を滞らせましたが、日産はこの傾向が特に顕著で、2011年から2019年頃まで国内に投入される日産の新車は多くても1年に1車種、もしくは投入しない年もあったのです。

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 新車の投入を大幅に減らしたことで、日産車には設計の古い車種が増えて売れ行きが低下。日産の国内販売台数(軽自動車を含む)は、2007年は約72万台でしたが、2010年は65万台に下がり、2015年は59万台、2020年は新型コロナウイルスの影響もあって47万台まで減りました。1Gbps Broadband frm $36.99/mth

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 その一方で、近年の日産は新型車を活発に投入しています。2020年は「ノート」「キックス」「ルークス」。2021年は「ノートオーラ」と「アリア」、2022年は「エクストレイル」「フェアレディZ」「サクラ」「セレナ」が発売されました。

 ノート/ノートオーラやセレナなどは売れ行きも好調で、街中でも頻繁に見かけます。

 それなのに、日産のメーカーとしての販売ランキングは、前述の5位から浮上しません。一体何が理由なのでしょうか。

 日産車の2023年における1か月平均登録台数(軽自動車は届け出台数)は、1位がセレナ(約6100台)、2位がルークス(約5900台)、3位がノート(約5000台)、4位がノートオーラ(約4000台)、5位がデイズ(3300台)、6位がサクラ(約3200台)という具合です。

 1か月の平均台数が3000台を上まわるこの6車だけで、2023年に国内で販売された日産車の70%近くを占めています。

 国内で販売される日産の乗用車には、上記の6車以外にも、SUVではエクストレイル、キックス、アリア。ミニバンでは「エルグランド」、セダンなら「スカイライン」などがあります。

 しかし、これらが全然売れないため、商用車まで含めた残りの車種をすべて合計しても、国内販売台数の約30%に片付けられてしまうのです。

 言い換えれば、今の日産がセレナやルークスなどを1か月平均で4000台以上も販売しながら、メーカー順位が5位に留まるのは、SUVのエクストレイルやキックス、ミニバンのエルグランドなどが伸び悩んでいるからです。

 この内、エルグランドは現行型の発売が2010年と古く、登録台数が下がったのも納得できますが、エクストレイルは2022年、キックスも2020年に発売された新しいモデルです。

 特にエクストレイルは認知度の高い新型車なのに、1か月平均登録台数は2300台ほど。ライバルのトヨタ「ハリアー」は6400台、「RAV4」は3600台、2023年に発売されたホンダ「ZR-V」は3400台となり、いずれもエクストレイルを上回っています。Temuの狂った割引 - すべてのカテゴリ最大 90% オフ - 今日限定の超特価

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 なぜエクストレイルの売れ行きが伸び悩むのでしょうか。販売店に聞いてみました。

「現行モデルのエクストレイルは価格が高いです。先代モデルは300万円以下で買えましたが、いまはすべて300万円を上まわり、売れ筋グレードは400万円前後です。

 また1年ほど前は、発売直後なのに受注が長期間にわたって停止しました」

e-POWER専用のエクストレイルの弱点とは?

 先代エクストレイルではガソリン車が売れ筋で、2WDの「20Xi」や4WDの「20X」では価格を280万円前後に設定していました。

 それが現行モデルは、発電用エンジンとして圧縮比を変化させる機能を備えた1.5リッター直列3気筒ターボを搭載するハイブリッドのe-POWER専用車になり、そのために価格も高く設定。代表グレードとされる「X・e-4ORCE」は404万9100円です。

 この価格は、ハリアーの「ハイブリッドG」やマツダ「CX-60」の3.3リッター直列6気筒クリーンディーゼルターボを搭載する「XD・Lパッケージ」などに近いです。

「エクストレイル」は1.5リッターターボエンジンを発電機として使う© くるまのニュース 提供「エクストレイル」は1.5リッターターボエンジンを発電機として使う

 エクストレイルの価格は、先代モデルではミドルサイズの水準でしたが、新型ではラージサイズに匹敵しており、これが売れ行きを下げた要因のひとつとなっているようです。

 キックスも同様です。e-POWER専用車とあって、全長が4300mm以下のコンパクトSUVですが、価格はもっとも安価なグレードでも約300万円です。売れ筋は310万円~340万円に達します。

 売れ筋カテゴリーのSUVでエクストレイルやキックスの販売が伸び悩む理由は、パワーユニットをe-POWER専用にして値上げしたからです。この影響で、日産の国内販売が全般的に伸び悩んでいるというわけなのです。

 今後は、SUVのエクストレイルやキックスに、割安なグレードを設定することが必要です。またエクストレイルにエアロパーツを装着する「ハイウェイスター」を用意するなど、購買意欲を高めるバリエーションの追加も求められます。

 また今の日産には、電気自動車のサクラ以外、カテゴリーの販売1位になる車種がありません。

 セレナにSUV風の仕様を加えて売れ行きを伸ばしてミニバンカテゴリーの販売1位を狙うなど、日産のブランド力を高める工夫も必要となっているのではないでしょうか。

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