山形発「ブルーインパルス珈琲」 被災者励ます姿に感動、洋菓子店で20日発売

美容院や洋菓子店を営むモーメント(山形市)が、航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」をモチーフにしたドリップコーヒーを商品化し、20日発売する。東日本大震災で被災者支援に当たった鈴木利武社長(45)が、演技飛行で被災者らを励ます姿に感銘を受けて企画した。

「演技飛行」を味に込めて

 「ブルーインパルス珈琲(コーヒー)」は、チーム名にかけてジャマイカ産の高級品種「ブルーマウンテンNO.1」などをブレンド。あっさりとした飲み口と深みのある味わいを実現した。1パック280円。

 山形市飯塚町で経営する洋菓子店「お菓子工房Lの店」で販売する。鈴木社長は「青空に舞う一糸乱れぬ演技飛行のように、酸味、苦み、コクなどをバランスよく楽しめるよう調整した。ブラックが苦手な方でもおいしく味わえる」と話す。

 青色、ピンク色と2種類ある包装には、飛行機から出すスモークでハートを射抜く様子を描くプログラム「パーティカルキューピッド」のイラストを入れた。

 鈴木社長は震災発生直後に約2週間、美容院のスタッフと共に岩手県宮古市から宮城県亘理町まで被災地を回り、無料で被災者のカットやシャンプーに当たった。

 印象に残ったのは、悲しみをあまり見せず、以前の生活を取り戻そうと頑張る被災者の姿。3年後、震災復興をテーマに山形市で開かれた東北六魂祭でブルーインパルスの飛行を見て、当時を思い出したという。

 「演技で被災者を励ます彼らのように、自分も震災復興のために何かしたい」と決意。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ美容院の婚礼需要に代わる収益源を育てようと2022年、お菓子工房Lの店に焙煎所を構えたのを機に新商品の開発に乗り出した。

 今後は、全国の自衛隊のイベント会場などでも販売したい考え。宮城県内で取扱店も募る。売り上げの一部を復興支援の寄付に充てることを検討している。

 鈴木社長は「コーヒーを味わいながら震災から再び立ち上がる被災者に思いをはせてほしい」と語る。

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