建設業の倒産件数が2023年に急増 「黒字倒産」もチラホラ 地域別で最も多かったのは?

建設業者の倒産が増えている。帝国データバンクが建設業の倒産動向を調査したところ、2023年に発生した建設業者の倒産件数は1671件で、前年比38.8%増と急増したことが分かった。増加率が30%を超えるのは00年以降で初めて。

 23年は8年ぶりに1600件を超え、コロナ禍前の19年(1414件)を上回った。14年以降の10年間で2番目の多さとなった。

 負債総額は1857億300万円で、前年比52.5%増の大幅増。一方で、一部の大型負債が全体を押し上げた形となり、パチンコ大手・ガイアのグループ企業2社を除くと1件当たりの平均負債額は8900万円と、小規模業者の倒産が中心であった。

 帝国データバンクは「倒産急増の背景には、資材の高騰と人手不足などに伴う『建設コストの上昇』が挙げられる」とコメント。施主に対しての価格交渉が難航するなど、請負単価が上がらない中で資材高騰の局面が続き、元請け・下請けともに収益力が低下していることが理由と分析している。

 人手不足は工期の延長も引き起こしている。完工時期が後ろ倒しとなることで、元請業者から下請業者への支払延期要請も多く、資金繰りにも影響を及ぼしている。つなぎ融資を調達しようとしても借入余力の小さい業者が多く、受注は確保できていながら現金がショートする「黒字倒産」も見られた。

 建設業界では、残業時間の上限規制が24年4月に適用される。価格転嫁や工期の適正化が進む一方、下請業者への浸透には時間がかかる可能性もあり、さらなる建設コストの上昇、倒産の増加も懸念されるという。

●1位は「近畿」

 23年の建設業者の倒産を地域別に見ると、1位は「近畿」の408件。前年比で32.5%の増加となった。前年比の増減率が最も高いのは「北海道」で210.0%増の62件。「九州」は50.5%増の158件となり、過去10年で最多だった。

 コロナ禍で業績や財務が悪化していたところからの急回復で、資金繰りが追いつかない業者の倒産は増える傾向にある。急激な業者数の減少は、進行中の案件の停滞や先送りを招く可能性もあり、地域経済への影響も懸念される。

 集計期間は23年12月31日までで、負債が1000万円以上の法的整理による倒産を調査した。

タイトルとURLをコピーしました