仙台いちご、台湾に照準 直行便使い2月末まで2.5トン輸出 厳しい残留農薬基準クリア

JA全農みやぎは16日、「仙台いちご」のブランドで知られる宮城県亘理、山元両町産のイチゴ「もういっこ」の台湾向け輸出を始めた。生産者とJA、県が協力し、台湾が求める厳しい残留農薬の基準をクリアした。仙台空港からの直行便で、2月末までに計2・5トンを送り出す。

甘みや酸味のバランス取れたイチゴ 鮮度高いうちに

 初日は、14日に収穫した250グラム入りパック500個をエバー航空(台北市)の仙台-台北線で運んだ。早ければ19日にも台北市のスーパーに並ぶ。

 台湾向けイチゴの栽培は昨年8月、亘理、山元両町の生産者計9人がそれぞれの専用ハウスで始めた。

 県亘理農業改良普及センターが基準を満たす栽培法などを記した手引きを作成し、農薬の使用量や防除法などを指導。1月上旬の検査で基準を満たした。

 JA全農みやぎによると、台湾では農薬成分39項目のうち8項目で不検出を求められ、19項目で日本の基準よりも低い数値が必要となる。基準値超の農薬が検出されると、輸入停止などの措置が取られる。

 JAみやぎ亘理いちご部会の嶋田栄一部会長は「使用農薬が制限され病害虫対策に苦労したが、甘みや酸味のバランスが取れたイチゴができた」と話す。

 台湾では、大粒で糖度が高い日本産イチゴは人気で、高級品として扱われる。農薬基準の厳しさから輸出しているのは福岡、熊本両県の生産者に限られる。

 「もういっこ」は香港やシンガポールにも輸出されているが、成田空港まで陸送で現地に届くのに3日かかる。仙台-台北線が週17便ある台湾は、より鮮度の高いイチゴが届けられる。

 全農みやぎ園芸・生産振興部の熊谷正樹次長は「競合相手は少ない。いち早く取り組むことで知名度アップや販路拡大につながるはずだ。輸送コストの面でも利点がある」と期待する。

タイトルとURLをコピーしました