遺伝子の組換えで作り出された、いわゆる「光る熱帯魚」を違法に飼育した疑いで、熱帯魚店経営者の夫婦が逮捕された。
照明を当てられ、黄緑色に光る魚。
「ベタ」と呼ばれる熱帯魚の一種で、遺伝子の組み換えで作られたもの。
「光るベタ」を飼育し販売した「カルタへナ法」違反の疑いで逮捕されたのは、熱帯魚店経営者の武田英彦(66)容疑者と妻のタケダ・ソムポーン容疑者(56)。
警視庁によると、武田容疑者らは、タイから遺伝子が組み換えられたベタを密輸し、「ネオンベタ」という商品名で、高いもので1匹3万円の値段で販売していた。
この事件を取材したフジテレビ社会部・警視庁担当の林理恵記者に聞く。
――カルタヘナ法というのは、あまり聞き慣れない法律だが、何が規制されるのか
カルタヘナ法とは、生態系に影響を及ぼすことから、許可なく遺伝子組み換えをした生き物の飼育などを禁止する法律。
これらのルールが議論された国際会議が開催されたのが南米コロンビアのカルタヘナという場所で、その地名が法律の名前にもなった。
このカルタヘナ法だが、2023年3月に日本国内で初めて摘発されたが、そのときは光るメダカだった。
研究のために遺伝子組み換えされたメダカの卵を東京工業大学の学生が持ち出し、その後、拡散されたものだった。
当時の事件は、国内での遺伝子組み換えだったが、今回の事件はタイで遺伝子組み換えされた熱帯魚を密輸した形。
遺伝子組み換えの仕組みは以下の通り。
「ベタ」と呼ばれる熱帯魚の一種で、ベタの受精卵にカラフルな「マメスナギンチャク」と呼ばれるサンゴの一種の遺伝子を注入して作られた。
この遺伝子を入れることで光るベタが生まれ、武田容疑者らが「ネオンベタ」として販売するにいたった。
――それを今回、警視庁が摘発するにいたったきっかけというのは何だったのか。
実はベタ愛好家たちが自慢のベタを出品する“日本ベタコンテスト”がきっかけだった。
武田容疑者の店から購入した客の1人が、コンテストに光るベタを出品していた。
コンテストの主催者は、2023年の光るメダカのニュースを見ていたということで、違法な遺伝子組み換えの魚が出品されていないかどうか、1匹ずつライトを当ててチェックしていた。
この主催者の地道な確認作業が今回の事件につながったが、主催者はFNNの取材に対して、「出品した本人も知らない間に違法な遺伝子組み換えの魚が流通してしまったのは残念に思います」とコメントしていた。