米アップルに対して連邦高等裁判所は17日、血中酸素濃度の計測機能が付いたスマートウオッチ「Series 9」と「Ultra 2」の米国での販売停止が必要との判断を示した。同社は医療機器メーカーのマシモと特許紛争のさなかにある。
高裁は今回、米国際貿易委員会(ITC)が課した同デバイスの輸入禁止措置について、長期の差し止めを求めていたアップルの訴えを退けた。これにより、アップルは輸入禁止措置に関する上訴が行われている間、酸素測定機能付きウオッチの販売を停止しなければならない。アップルは上訴の行方が決着するまで1年か、それ以上かかるとみている。
今回の決定はおそらく、アップルが次善策を実行に移すことを意味する。具体的には、マシモの特許を侵害していると指摘された血中酸素測定機能を除外したウオッチを販売することになるだろう。アップルは輸入禁止措置を回避するため、この機能を除外するソフトウエアの修正版を開発。輸入禁止措置を執行する米税関・国境警備局(CBP)は先週、アップルの変更措置を承認した。
高裁の判断を受けて、マシモの株価は一時2.8%急伸し、日中ベースでおよそ5カ月ぶりの高値をつけた。
マシモとの特許訴訟は、アップルにとって米国市場で主力商品の1つを脅かすものであり、前例のない事態だ。ウオッチはアップルのウエアラブル・ホーム・アクセサリー事業の柱であり、同事業は昨年、売上高全体の10%以上、金額にして400億ドル(5兆9300億円)近くを稼ぎ出している。
アップルとマシモの担当者にコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。