セントメリースキー場、35年の歴史に幕 設備老朽化や雪不足など影響

 宮城県川崎町は18日、所有するみやぎ蔵王セントメリースキー場を今シーズン限りで閉鎖すると明らかにした。老朽化が進む設備の維持管理費の増加やスキー離れに加え、温暖化による雪不足が追い打ちをかけた。35年の歴史に幕を閉じる。

利用者数はピークの4分の1に

 同スキー場は1990年、民間企業などが山形自動車道笹谷インターチェンジ(IC)近くにオープン。スキーブームに加え、ICに近い立地を生かし、95年にはピークとなる約15万8000人を集めた。

 その後は、ブームの終息や雪不足などによる営業日数の短縮などで利用者数が伸び悩み、99年に町営化された。2022年の利用者数は約3万7000人で、ピーク時の約4分の1に落ち込んだ。

 今季は昨年12月22日にスキー場開きをしたものの、雪不足で1日も営業できていない。19日が初めての営業日となり、3月20日までの営業を予定する。

 営業開始に向けて準備を進めていた従業員は「一緒に歩んできた町の決定に従うだけ。今はただ残された期間を精いっぱい頑張るしかない」と話した。

 町によると、通常営業ができた22年の入場収入は約1億円。運営会社「ゆらいず」と25年5月末まで指定管理契約を結び、年間の指定管理料1800万円が会社に支払われている。

 記録的な雪不足に見舞われた20年に町は3000万円を同社に貸し付け、返済残高は約1900万円。雪不足が深刻化し、資金がショートする恐れもある。今後も経営が好転する見通しが立たないことから、閉鎖を決めた。会社の存続は不透明で、跡地活用などは未定という。

 18日にあった町議会本会議で、町の撤退を条件に3月末までの人件費や燃料費などに充てる補助金4400万円を支出する議案が全会一致で可決された。

 小山修作町長は「今季は町が責任をもって運営するが、財政面の傷が深くならないうちにまずは閉めることを決断した」と述べた。

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