震災伝承思い込めて 岩田華怜、3月に仙台で朗読劇「10年後の君へ」

 元AKB48メンバーで仙台市出身の俳優、岩田華怜(かれん)が脚本と演出、主演を担う朗読劇「10年後の君へ」が3月10日、太白区の東日本放送ぐりりホールである。東日本大震災とその後の日々に誠実に向き合う内容。仙台を訪れた岩田は「生きたくても生きられなかった人の分まで精いっぱい生きる大切さを伝えたい。震災を体験していない世代にも来てほしい」と話す。

「生きる大切さ伝えたい」

 「震災について多くの人に考えてもらうため、いつかは自分で何らかの形で震災の作品を作ろうと決めていた」と、岩田は4年前に脚本を執筆。新型コロナウイルス禍の影響や年内に米国へ留学することから、今春の開催を決めた。

 震災で母親を亡くし、遺児となった名取市閖上出身の伊藤笑華(岩田)は27歳になり、東京で多忙な生活を送っていた。心に負った傷と向き合えずにいたが、十三回忌を目前に同じ夢を見るようになる。

 上京後初めて帰郷した笑華は、幼なじみの男女と再会する。2人も心の奥底にままならない感情を抱え、苦しんでいた。そんな3人は震災前に埋めたタイムカプセルの存在を思い出し、掘り起こす。そして3人の心に変化が起こる。1時間20分。

 岩田は「思いを言葉でストレートに伝えるため、朗読劇にした。できるだけ会話にリアリティーを出すよう苦心した」と話す。

 岩田は小学6年生の時に仙台市の自宅で被災。震災の約1カ月後にあったAKB48の最終オーディションで合格した。「5年間のアイドル活動で東北各地の沿岸部に80回以上は足を運んだ。そこで見て、聞いて、感じたことは全て鮮明に覚えている。私にとって震災は一生向き合っていくものになった」と話す。

 東京と仙台の公演にかかる費用を賄うため、クラウドファンディングを専用サイト「キャンプファイヤー」で1月31日まで行っている。目標額は180万円。寄付額に応じて、オリジナル公演Tシャツ、サイン入り公演パンフレットなどの返礼を用意している。

 仙台公演は2公演、開演は午後1時と5時。入場料は一般4000円、大学生以下1500円。未就学児は入場できない。連絡先はモックエンターテインメント022(200)6414。(沼倉淳)

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