大崎市の中山平温泉地区で計画されている地熱発電開発事業について、鳴子温泉郷観光協会は19日、計画に反対する意見書を市に提出した。中山平を含む構成5地区の観光協会、旅館組合の連名で「源泉の枯渇、湯量の減少などが生じて温泉郷の価値を失う可能性がある」として、市に事業への反対を求めた。
5地区のうち鳴子温泉は昨年12月に同様の意見書を提出しており、5地区は今月12日の理事会で全会一致により反対を決めた。意見書は源泉への悪影響に加え、北海道蘭越町で昨年、地熱資源の調査掘削中に蒸気が噴出した事故を踏まえ、有害物質の流出や風評被害の懸念を挙げた。
市役所を訪れた鳴子温泉観光協会の藤田謹一会長は「温泉文化を守るため反対せざるを得ない」と話し、伊藤康志市長は「鳴子全体の意思表示を重く受け止め、しっかり対応したい」と述べた。
事業は中山平温泉の南西約2・5キロの休耕田約8000平方メートルで、WIND-SMILE(ウインドスマイル、東京)が代表の合同会社中山平ジオエナジーが出力4990キロワットのバイナリー発電を計画。県の自然環境保全審議会温泉部会が申請内容を審議している。
同社は現地の地下構造を理由に事業による温泉への影響には否定的な立場で、担当者は「引き続き丁寧に説明し理解をいただきたい」と話した。