まだ高騰?専門家が分析「24年の住宅価格」の行方

家が欲しい人は必読!マンション、戸建ての逆行現象

2024年の住宅市場に起こることはすでに決まっている。そして、その現象はその翌年も続く可能性が高い。そうなると、自宅をどうすべきかを今の段階で検討しておいたほうがいいことになる。先が見通せれば、時間を味方につけることができるのだから。

住宅市場は持ち家と賃貸の2つの市場がある。持ち家はマンションと戸建て、戸建ては分譲と注文の2つに分かれる。新築と中古の区別はあるが、新築価格が中古価格を決めるので、新築の動向をおさえておけばいいことになる。

新築マンションの供給が極端に減っている首都圏

まずは、新築分譲マンションから始めよう。

2023年は単月平均の価格1億円超えがニュースになったが、価格が高くなった分、供給戸数は前年比2割減ほどになりそうだ。価格と供給戸数は反比例の関係にあり、これらを掛け合わせた年間販売額は首都圏でほぼ2兆円と総販売額が決まっている。

首都圏で2.4万戸ほどの供給は極端に少なく、総じて郊外化し、立地は端的に悪くなった。一部の好立地の高額物件は売れ行きがよかったが、それ以外は売れ行きがいいとはいえない状況である。

2024年はさらに価格が上がる。それは、すでに仕込んである用地価格と発注する建築費が高騰しているからでこれも今更変えることはできない。仕入れ原価が上がっているのだから、価格は上がるしかないのだ。

それでも、最近はデベロッパーの用地購入の社内稟議が通らないケースは年々増加しており、2024年の首都圏の供給戸数は2万戸割れもありうると考えている。20年ほど前は年間9万戸を超える年があったのと比較すると、もう新築分譲マンションは絶滅危惧種に近いほど供給戸数が少なく、好立地以外は検討に値しないと考えたほうがいい。

中古マンションの価格もツレ高

新築価格が上がれば、中古価格はツレ高になる。中古の成約戸数は新築を大幅に上回っているが、その差は拡大に向かう。住み替えの際に損をしたくないなら、資産性を考える必要がある。

資産性は立地がいいところほど高くなる。このため、立地ありきで物件を探すなら、新築を待っていても出てこない確率が高いために、中古マンション中心に検討することが現実的となる。

その際に、最も重要なことは、適正な価格で購入することだ。相場が上昇する中、物件検索サイトに載っている売り出し価格は高く感じるかもしれないが、成約価格はこれの1~2割安いところにある。同一物件内の直近の成約事例を不動産屋に聞きながら、慎重に指値を入れて購入することをおすすめする。

次に、新築分譲戸建てはまったく別の展開を予想している。コロナ禍にステイホームを強いられていたための家探し特需で価格は2割ほど上昇した。これは売れ行きのよさに気づいた街の不動産屋などを含めた本業でない事業者の参入による用地価格の高騰によって起こっている。これに加えて、ウッドショックなどの資材価格の高騰で建築費も高騰した。

しかし、全国旅行支援解禁後は、この需要が激減し、売れ行きは急降下している。特需の終了で本業でない会社は一斉に撤退し、土地仕入れ競争は落ち着きを取り戻しつつあり、市場での販売在庫が急増し、土地価格は下がり始めている。

1年の間に土地の仕入れから販売まで行う新築分譲戸建て事業の状況変化は早い。2024年は価格が下がる方向に動くだけでなく、需要が少ないことから、来場者に対する相対での値引きもあるので、購入環境は昨年よりよくなる。

注文戸建ては昨年よりも安くなる

注文戸建ては建物価格が変わらないものの、土地価格が下がり始めているので、総額ベースでは昨年よりも安くなる。コロナ後に住宅展示場のテレビCMを多く見るようになったが、これは集客ができていない証拠となる。

一般の人はみんなが買いに行くときに買いたがるが、そんなときは価格も高く、値引き幅も少ない。ここで大事なのは「買い手が少ないときは買いどき」だということで、今年は「買いどき」に相当する。

最後に、賃貸住宅を見ていこう。都市部のコロナ感染者が絶対数で多かったこともあって、都市部への人の流入はコロナ期間中に大幅に減った。特にアルバイト・パートタイマー・契約社員などの非正規雇用の人は営業自粛のあおりを受けて職を失い、単身者の賃貸需要が激減した。稼働率が下がると家賃は下がる。シングルタイプは家賃が下がった。

その一方、持ち家価格が高くて買えない人が増えているため、ファミリータイプの家賃は上がり続けている。コロナ期間中も正規雇用が多いファミリータイプの賃貸需要は減ることがなく安泰で、最近の家賃の高騰は拍車がかかっている。

上場している住宅系のJ-REIT(日本版不動産投資信託)の投資家向け資料では、ファミリータイプの賃料上昇率は10%に及んでいるところもある。このデータは同一住戸で入居者が変わって家賃がいくら上がったかを示すものだが、入居期間は4年ほどなので、築4年古くなって家賃が10%上がる事態ということだ。こうなるのは稼働率が上がっていることの証しなのである。

コロナ禍ではマイナスだったシングルタイプもプラスに転じ、ファミリータイプは大幅プラスとなっている。2024年は賃貸で引っ越す人は家賃の上昇に驚くことになるだろう。

持ち家は早めに取得しておいたほうがよい

この市況は都市部での人手不足が深刻になる中、人口流入がコロナ前よりも増えて需要が増え、これまた人手不足による建築費高騰の中で供給不足が見込まれている。こうして需給は逼迫し、稼働率は上昇一辺倒になるので、賃料上昇幅もさらに大きくなることが予想される。

持ち家価格も家賃も上昇していくことがここ数年のトレンドになるとわかると、早めに持ち家を取得しておいたほうがいいことになる。いつか下がるときが来るとしても、それまでに生まれた含み益があるので売って損する可能性は低い。少なくとも、賃貸で家賃を払った総額より収支はよくなる可能性が高い。

購入時期が遅くなるほど、入居期間が短くなり、含み益の額が小さくなり、損切りリスクが高くなると考えたほうがいい。

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