山形県飯豊町の冬季のインバウンド(訪日客)誘致が好調だ。受け入れを始めて16年目となる今シーズンは、町を訪れるツアーの予約が3月末までで過去最多の6400人になった。中心は台湾からの旅行客で、珍しい雪遊び体験が魅力になっているようだ。
中心は台湾人、初体験の雪に大喜び
台湾のツアー客38人が11日、町中心部から約20キロ離れた白川ダム湖岸公園を訪れ、そり遊びやスノーモービルの試乗を楽しんだ。例年会場とする中心部の「どんでん平スノーパーク」に雪がなく、場所を移した。
湖岸公園の周辺も積雪は25センチほどだったが、雪を初めて見た人も多くツアー客は大喜び。友人と訪れた会社経営の鐘秀雯(とうしゅうぶん)さん(50)は「日本には6回来ているが山形は初めて。雪遊びが本当に楽しい」と話した。
一行は成田空港からバスで到着。町内で昼食を取った後は山形市で蔵王の樹氷を見学し、福島県の裏磐梯に宿泊した。翌日以降も福島県会津若松市や栃木県日光市などを回り「雪」を主テーマにしたツアーとなった。
町観光協会は県内有数の豪雪を目玉に2009年、冬季の誘客を強化した。蔵王や銀山温泉(山形県尾花沢市)などと組み合わせたツアーが人気を集め、新型コロナウイルス禍で中断する前の19~20年シーズンは3800人が町を訪れた。
3年ぶりに復活した22~23年シーズンは1200人にとどまったものの、23年12月25日に始まった今シーズンは予約が殺到。2月には10本のバスツアーが訪れる日もある。オーストラリアやマレーシア、タイなどの観光客も増えている。
町観光協会の伊藤賢一会長(73)は「旅行会社に積極的に営業した成果が出た。町域が広く、中心部が雪不足でも山あいは豊富。来シーズンは1万人を目指したい」と手応えを語る。