ダイハツ、23年秋に計画していた新型「ムーヴ」の投入見送り…本格的な生産再開見通せず

ダイハツ工業が認証試験を巡る不正を受け、主力の軽自動車「ムーヴ」の新型車投入を当面、見送ることがわかった。一連の問題で開発・生産が停滞しているためだ。19日には国土交通省が5車種の出荷停止指示を解除したものの、本格的な生産再開は見通せず、厳しい経営環境が続きそうだ。

 ダイハツは、2023年秋にムーヴの新型車を発売する計画だった。だが、4月に海外向け、5月に国内向けの認証試験で不正が見つかったと発表。これに伴う第三者委員会の調査などで開発が停止していた。12月には不正対象が64車種(開発中・生産終了も含む)に拡大し、全車種の出荷停止に追い込まれた。はじめて借りるならソニー銀行

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 ムーヴは1995年に初代が登場し、2014年に6代目となる現行モデルが発売された。車高の高さや荷室の広さが支持され、23年の販売台数は10万台超と、軽自動車で4位の人気車種だ。累計生産台数は、「ミラ」に次ぐ約342万台と根強い人気を集めてきた。

 新型車の開発を再開しても、不正の再発を防ぐため、安全性を巡る認証試験は慎重に進めることが求められる。スケジュールが大幅に遅れることは必至で、社内では「発売までの遅れは、開発をストップした期間以上に時間がかかりそうだ」(関係者)との見方が出ている。

 ダイハツにとって、ムーヴは「タント」や「タフト」と並ぶ主力車種だ。新型車投入は通常、現行モデルから内外装を一新し、燃費などの性能を向上させれば売り上げ増につながることが期待される。人気車種の開発の遅れは大きな打撃となる。

 認証不正による新型車計画への影響は、すでに他の車種にも及んでいる。ダイハツが生産を担い、トヨタ自動車やスズキなどと共同開発していた電気自動車(EV)の商用軽自動車の発売時期は、当初予定の23年度中から延期される見通しだ。

■消費者庁が指導

 消費者庁は19日、認証不正が見つかったダイハツ工業に対し、公益通報者保護法に基づく指導を行った。消費者庁は内部通報を受けて行う調査の独立性や客観性が確保されていないとしており、現状を改善した上で半年後をめどに運用状況を報告するよう求めた。

 消費者庁によると、ダイハツでは内部通報の調査を問題の起きた部署で実施したケースがあった。匿名の通報では通報者の連絡先がわかっていても、是正状況を連絡しない仕組みになっていた。このため、〈1〉調査の独立性や客観性を担保する〈2〉通報者に是正状況を確実に伝える〈3〉制度や規定を見直し、従業員に周知する――ことを求めた。

 ダイハツが昨年12月に公表した調査報告書によると、2022年の内部通報で調査が行われたのは全体の約4割で、このうち約6割は法令違反の疑われる部署が自ら調査していた。

 ダイハツは「消費者庁から指導いただいた内容を真摯(しんし)に受け止め、早急に取り組みを進めたい」としている。

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■取引先中小へ資金繰り支援…経産省

 経済産業省は19日、ダイハツ工業の取引先の中小企業や小規模事業者に対し、資金繰り支援を実施すると発表した。ダイハツの生産停止で売り上げが減るといった影響を受けた部品会社などが対象となる。

 金融機関から融資を受ける場合、信用保証協会が融資額(上限2億8000万円)を100%保証する制度を、26日から適用する。斎藤経済産業相は19日の記者会見で、「売り上げ減少に直面する事業者は相当数いる。きめ細かい支援を行いたい」と述べた。

 全国にある日本政策金融公庫を始めとした政府系金融機関や商工会議所には19日、資金繰り相談を受け付ける特別窓口を設けた。

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