人体をつくるたんぱく質に糖が結びつき老化などを引き起こす「糖化」を、ワインで抑える効果を調べようと、同志社女子大は酒類商社「モトックス」(大阪府東大阪市、寺西太亮社長)と共同で、「エイジングケアワイン研究所」を開設したと発表した。
糖化は過剰に摂取した糖が主に細胞のたんぱく質などに結びついて、焦げ付いたような状態。蓄積すると取り除く方法がなく、皮膚や骨、血管などの働きを鈍らせて老化を早め、病気の原因にもなる。
薬学部の杉浦伸一教授と同社はこれまでも共同研究を実施し、適量のワイン飲酒が糖化を抑える効果を確認してきた。研究所は同志社大京田辺キャンパス(京都府京田辺市)内の産学官連携施設「D―egg」に置き、同社の社員らが研究員として常駐。効果を生み出す物質や製造法などを詳しく分析する。
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杉浦教授は「抗酸化作用があることで知られるワインのポリフェノールが糖化の抑制にも作用している可能性がある」と指摘する。寺西社長は「ワインを選ぶ新しい基準や、商品やブドウ栽培の指標づくりにも役立てたい」と抱負を語った。
女性の方が効果出やすく
杉浦教授らは、20~60歳代の男女を対象に、4週間ずつ週6日、厚生労働省が公表しているアルコール摂取量の目安を基に、1日125ミリ・リットルのワインか水を飲んでもらった。血中に含まれる糖化を示す物質の量を測定すると、ワインを飲んでいる期間に低下していた。女性の方が、男性よりも効果が出やすかった。
このほか、体外で血液中のたんぱく質にワインを加えて反応をみる実験も実施。少量でもたんぱく質の糖化を抑える効果があり、総じて赤ワインの方が効果が高かった。ブドウの品種や醸造元によっても効果に違いがあるという。