つい「二度寝」をしてしまう…なぜ? 睡眠のプロが教える原因&対処法

つい二度寝をして家を出るのが遅くなり、出勤時間や登校時間に間に合わなかったことはありませんか。SNS上では「二度寝して会社に遅刻した」「二度寝がやめられない」などの声が上がっています。

 そもそも、二度寝をしてしまうのはなぜなのでしょうか。二度寝を防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。睡眠に関する支援サービスを提供する、アスリートスリープコーチの矢野達人(やの・たつと)さんに聞きました。

■「睡眠不良」「体内時計の乱れ」が原因

Q.そもそも、二度寝をしてしまうのはなぜなのでしょうか。原因について、教えてください。

矢野さん「大きく分けると2つあります。1つは『睡眠不良』です。これは、睡眠の質が悪かったり、睡眠時間が短かったりすることにより、体が十分に回復できていない状態を指します。体の睡眠欲求が満たされていないため、二度寝をして補おうとします。

もう1つは『体内時計の乱れ』です。人が自然と眠たくなり、その後、自然に目が覚めるまでの時間を『睡眠相』と言います。睡眠相は何も対策をしなければ毎日少しずつずれてしまいます。

分かりやすく説明すると、午前0時に寝て午前7時に起きようと決めていても、睡眠相が午前2時~9時にずれ込んで設定されていると、体は9時まで寝たい設定になっているため、午前7時に自然に起きることができません。このことは『体内時計が乱れている』とも言えます。

二度寝は睡眠不良が原因であるケースが多いですが、体内時計が乱れていることが原因で二度寝をする人も多くいらっしゃいます」

Q.二度寝自体にメリットはあるのでしょうか。

矢野さん「二度寝すること自体は、先述のように、体が求める反応なので、ある意味必要と言えます。ただ、理想を言うと、睡眠習慣を整えて良質な睡眠が取れるようになることで、二度寝をしたいと思わない状態にするのがベストです」

Q.では、二度寝を防ぎたい場合、どうすればよいのでしょうか。主な対処法について、教えてください。

矢野さん「『十分な睡眠時間の確保』『毎朝決まった時間に起きて日光を浴びる』『快眠のルーティンをつくる』の3つがポイントです。順番に説明します」

(1)十分な睡眠時間を確保する
成人であれば7~8時間の睡眠が望ましいといわれています。しかし、睡眠時間が5~6時間程度の人が増えており、中には6時間眠れたら良い方だと感じている人もいます。

自分の人生をより良いものにしたいと、睡眠時間を削って仕事や勉強に一生懸命取り組んでいる人もいるとは思いますが、睡眠時間を増やした方が、人生が変わります。

(2)毎朝決まった時間に起きて日光を浴びる
二度寝をやめるには、体内時計を整えることがとても大事です。そのために必ずやってほしいことが毎朝決まった時間に起き、日光を浴びることです。日光のような強い光を浴びると、目の奥にある体内時計のスイッチが入ります。これを一定のリズムで繰り返すと、体内時計が整っていきます。体内時計が整うということは睡眠の質が上がります。すると、二度寝の回数が減っていくことを体感できると思います。

目覚まし時計などのアラームで一度目を覚ました後、二度寝をする場合、体内時計が大きく乱れる可能性は低いと考えられるため、問題ありません。寝る時間も起きる時間もバラバラで、起きても二度寝をする日々が続いている人は、二度寝の罪悪感よりも、リズムが乱れた生活を改善することに意識を向けると良いでしょう。

(3)快眠のルーティンをつくる
良い睡眠を取るための準備をしていますか。用事が済んだから寝るという日々になっていませんか。快眠を得るためには入眠前の準備が大事です。しっかりリラックスしてから布団に入るのが良いのですが、そのためには風呂に入ったり、ストレッチしたり、アロマを楽しんだりするなど、脳や体が喜ぶことをしてあげましょう。それを習慣化するとぐっすり眠れるようになるため、二度寝もなくなります。

このほか、起床時に眠たい場合、「あーよく寝た!」と声に出すと意外と目が覚めます。

 日頃から二度寝をすることが多い場合、睡眠時間を見直すとともに、毎日決まった時間に起きることを心掛けてみましょう。

オトナンサー編集部

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