仙台市中心部6商店街のアーケードに面した1階の路面店で、宮城県に本社のある地元企業の店舗割合が40年間で53・2ポイント減り、33・0%となったことが河北新報の調査で分かった。専門家は、東北の中心都市・仙台に中央資本のチェーン店などが次々と進出し、東日本大震災後の地価と賃料の上昇でさらに加速したと指摘する。
(報道部・門田一徳)
地価・賃料上昇で加速
中央通と東一番丁通に延びるアーケード街の1983年と2023年の地図などを基に調べたところ、23年12月時点では一番町一番街(ぶらんどーむ一番町)が地元店の割合が最も低く、18・4%にとどまった。
おおまち26・5%、名掛丁28・3%、クリスロード30・5%、サンモール一番町35・7%と続いた。最も高い一番町四丁目も45・2%と半数に達しなかった。
一番町一番街の1983年時点の地元店の割合は84・4%だった。衣料品販売の大内屋、高山書店、婦人服販売のベルモードスズキ、まんぞくや靴店など38の店舗が軒を連ねていた。
バブル経済期の地価上昇などを背景に、路面店のテナント貸しや不動産の売却が進んだ。近年は中央資本の携帯電話店や喫茶店が増え、地元店は玩具雑貨店の白牡丹(はくぼたん)、大井ジュエリーなど7店に減った。
40年前は全50店のうち46店が地元店だった名掛丁も変化が著しい。レコード店や精肉店、食堂などの地元店が姿を消し、全国チェーンの居酒屋やカラオケ店、ゲームセンターが並ぶ。
地元店の割合が最も高い一番町四丁目は、店舗構成が物販中心から飲食中心に変わりつつある。中央資本と地元資本の居酒屋や飲食店が増え、しのぎを削る。
チェーンの路面店が増える要因について、東北学院大の柳井雅也教授(経済地理学)は仙台の拠点性が高まっていることに加え、近年の地価・賃料の上昇で資本力のある大手企業しか入居できなくなっている点を指摘。「特に仙台駅周辺が顕著。一番町は老朽化した建物の面積が広く、賃料の高い路面店の空きが増えてきた」と解説する。
6商店街では83年、工事中の4店以外に空き店舗の記載はなかった。現在は空き店舗が23カ所、空き地が2カ所。空き店舗・空き地の割合は一番町一番街が15・8%、おおまちが11・8%と高かった。
340店あった路面店の総数は40年間で37店減り、うち25カ所は空き店舗や空き地となっている。6商店街では建て替え時期を迎えた建物が増えているが、再開発の停滞などで建物の集約が進んでいない状況もうかがえる。