「セクシー田中さん」原作者急死に各局衝撃 トラブルの背景に配信視聴者層狙いのドラマ枠拡大

 「セクシー田中さん」の原作者急死の一報を受け、各局のドラマ関係者には大きな衝撃が走った。

 在京民放では深夜も含め、現在34本のドラマを放送。近年、ドラマ枠は増加傾向だ。民放関係者は「ここ2、3年、リアルタイム視聴でなく、配信でドラマを楽しむ視聴者が増えた。バラエティーとは比べられないほどの配信回数となっている。それだけ広告収入が見込めるため、各局とも配信狙いでドラマを増やそうという流れとなっている」と語る。

 現在、漫画や小説を原作とした作品は15本。「原作があれば、作品の面白さが先まで見通せるため、企画が通りやすい」(テレビ関係者)のが現状だ。「ここで大切なのが、原作者への説明」と民放プロデューサーは説明する。今回は原作者がドラマ化に合意した際にさまざまな条件を付けたり、撮影中にも修正点を細かく伝える事態が起きていた。

 「原作がドラマ化されることで、これからもっと世間に認知される作品については条件はほとんど出ない。既に人気がある作品でも、要望は“空気感を大切にしてほしい”ぐらい」と民放プロデューサー。だが「原作者が思うことと実写として面白いことは違う。条件は出なくてもさまざま確認を取って進める」と語る。

 別のドラマ制作者も「原作者が意見を言うケースは昔からあったが、丁寧に向き合い、分かってもらってきた。今回のように途中から原作者が脚本を担当するのは極めてまれ」とし「制作数が増えていることで、今作のように心の内面を描く繊細さが求められる難しい作品にも手を出さざるを得なくなったのでは」とドラマを取り巻く現状を語る。

 「原作者は作品の世界観を大切にし、ファンの意見を代弁する時もある。だからこそ、原作者への説明が大事。今回のように初めから条件を出していた場合は、意思疎通を徹底しないといけないケース」と他局の作品を担当する脚本家。民放関係者は「今回どこまで制作者側、出版社側が原作者をケアできていたのだろうか。人ごとではなくなってきた」と話した。

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