トラック運転手の人手不足で輸送力の低下が懸念される物流の「2024年問題」に対応するため、政府が検討する物流関連2法の改正案の概要が30日わかった。積み下ろしの順番を待つ荷待ちを減らす具体的な計画の策定を荷主に義務づける。多重下請け構造を可視化し、低賃金を改善させる。 【写真】アマゾンの宅配を請け負っている米穀店主(2023年11月、千葉県船橋市で)
長時間労働を改める働き方改革関連法が4月から、トラック運転手らにも適用される。政府は、物流総合効率化法と貨物自動車運送事業法を改正し、商慣行の見直しや取引の適正化を進める。2月にも閣議決定し、今国会に提出する方針だ。
トラック運転手は、全産業の平均と比べて、労働時間が2割長く、賃金は1割低いとされる。
改正案では、一定規模の荷主らを特定事業者として指定し、改善計画の策定と定期的に取り組み状況を報告することを義務づける。社内で責任を明確にするため、物流統括管理者の配置も求める。取り組みが不十分な場合は、国が勧告や是正命令を出すことができる。
運送業界は、多重の下請け構造になっており、間に事業者が介在するほど、実際に運送に従事する運転手の報酬に回せる原資が少なくなる。元請けの運送業者には、下請け状況を明らかにする管理簿の作成も義務づける。
国土交通省によると、トラック運転手の1日の平均労働時間は12時間26分で、このうち、3時間超が運転とは関係ない荷待ちや、積み下ろしをする荷役といった業務に充てられている。
国交省は昨年、荷主らから不当な要求がないかを調べる「トラックGメン」制度を導入し、荷主や元請けへの監視体制を強化していた。26日には、長時間の荷待ちをさせている疑いがあるとして、荷主と元請け2社に対し、勧告を実施して社名を公表している。