日本中に「築古オンボロマンション」急増の危機…東京すら「人口減少」なのに「家を持った人」に起こる悲劇

人口減少が止まらない日本。不動産の数値に目を向ければ、近い将来訪れる「悲惨な事態」が露わになっています。国土交通省『マンションストック総数』『築40年以上の分譲マンション数の推移』の内容とともにみていきましょう。

止まらぬ人口減少…しかしマンションは増えている

少子高齢化に伴う人口減少が著しい日本社会。『人口推計』(総務省統計局)によると、2023年8月時点での総人口は1億2,409万人。2008年に人口のピークを迎えて以来、引き続きの減少傾向です。人口が1億人を下回るのは2056年で、2055年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上となると考えられています。

そんななか、増え続けている数字がひとつ。分譲マンションのストック戸数です。2022年末時点のマンションストック総数は「約694.3万戸」(国土交通省『マンションストック総数』)。国民の1割超が居住している推計となっています。

■東京のマンション新規着工戸数は「増加」

東京一極集中を受け、デベロッパーによる建設ラッシュは止まりません。リモートワーク普及による地方移住が取り沙汰されたものの、東京の不動産価格は高騰し続けており、五輪以前に囁かれた「オリンピック後のバブル崩壊」もどこ吹く風、根強い東京人気がむしろ露わになりました。

人口減少のなか、増え続けるマンション。いずれ大問題になることは、想像に難くないでしょう。

居住用であれ、投資用であれ、「築年数」というのは日本人がもっとも重視する要素の一つ。本件、国土交通省が警鐘を鳴らしています。

2022年末現在、築40年以上のマンションは約125.7万戸となっていますが、それはもう右肩上がりに築古マンションが増加していくと考えられているのです(国土交通省『築40年以上の分譲マンション数の推移』)。今後、10年後には約2.1倍、20年後には約3.5倍に増加する見込みです。

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2032年末・・・260.8万戸

2042年末・・・445.0万戸

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2042年には、築40年以上のマンションが約445万戸にまで達します。賃貸組には何の問題もないものの、このまま放っておけば、購入者、投資家にとって大問題です。

恐ろしい…東京すら「人口のピークを迎えたとき」

分譲マンション購入者にとっては、売却時に似たようなマンションが増加していれば、資産価値の下落につながる可能性があります。

本件、不動産投資家にも共通することです。「将来を見据えたマンション投資!」とはよく聞かれる言葉ではありますが、では、その「将来」が実際にやってきたとき、直面するのは、修繕・改築が求められるオンボロマンション、そして人口減少の影響をもろに受けた空き部屋だった……というリスクは否定できません。

東京都政策企画局は2065年までの東京都の人口推移を予測しています。2020年国勢調査による東京の人口は1,405万人ですが、2030年に1,424万人に達したあとは減少に転じ、2065年には1,228万人になる見込みです。

不動産市場の好調っぷりに何かと浮足立ってしまうものですが、流動性の低い不動産という資産を考えるには、中長期的かつ冷静な視座が求められています。

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