宮城県が主導する仙台医療圏4病院再編構想のうち、県立精神医療センター(名取市)を富谷市に移転して分院を名取市に置く計画を巡り、県が病床数などについて三つの案をセンターに示したことが30日、分かった。3案は富谷を110~145床、分院を25~60床と想定。センター側には人手不足や赤字増への懸念が広がった。
富谷110~145床、分院25~60床で想定
29日に県が示した3案は表の通り。現行の258床を2拠点で計170床に減らすと想定。救急病棟を設ける富谷市側を基幹病院と位置付けた。
分院は仙台市太白区以南で家族らの同意を得て入院させることができる「医療保護入院」を全て、または一部担うと説明し、①富谷120床、分院50床②富谷145床、分院25床③富谷110床、分院60床―の3パターンを示した。
県は2022年度の入院患者情報を分析して機能配分したと説明し、3案ごとの収支も試算した。現状では県が約9億円を拠出して収支均衡(20年度で2500万円の黒字)を図るが、3案では同額を拠出しても、3億6000万円~5億9000万円の赤字になると想定した。
関係者によると、県の説明に対し、センター職員は「南に多い患者が北の病床に入院しなければならず、かかりつけ医が診る態勢にならない」などと批判。医師や看護師を現行数の範囲内に抑えて2病院に振り分けているため、人手不足や赤字幅増大を心配する声も上がった。
県は2月13日に再度話し合う予定で、協議を急ぐ理由について「県議会もあり(目標とする年度内の基本合意に)間に合わない」とも述べたという。センター側は「分院に病床数を数多く配分する必要がある」などと要望しており、県と現場の意見にはなお大きな隔たりがある。
仙台医療圏4病院の再編を巡っては昨年12月、仙台赤十字病院(仙台市太白区)と県立がんセンター(名取市)の統合病院を名取市に整備する構想で運営主体が基本合意した。