光合成にまつわる100年以上の「謎」、水から酸素ができる瞬間の観察に成功…岡山大など研究チーム

植物の光合成のうち解明が最も難しかった、水から酸素ができる反応の一端を捉えることに成功したと、岡山大などの研究チームが発表した。X線自由電子レーザー施設「SACLA(サクラ)」(兵庫県佐用町)の強力なX線をごく短時間照射し、分子の動きを連続的に観察した。人工光合成の実現に向けた一歩となる成果で、論文は1日、科学誌ネイチャーに掲載される。

 光合成は植物が光のエネルギーを利用し、水と二酸化炭素から酸素と炭水化物を作る化学反応。100年以上研究されているが、水が分解されて酸素ができるメカニズムは不明だった。

 岡山大の沈建仁(しんけんじん)教授(生化学)らは、植物の葉にある「PS2」というたんぱく質の複合体が、水を分解する反応の触媒となっていることに着目。PS2の結晶を作って解析し、複合体の内部にあるマンガンとカルシウム、酸素の原子からできた「ゆがんだイス」のような形の分子が反応の中心となっていることを突き止め、2011年に発表していた。想像以上の値段で売れるかも

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 今回はPS2の結晶に光を当てて光合成の反応を開始させた後、100兆分の1秒という極めて短い時間、X線を照射して分子の動きをコマ送りで観察した。

 すると光を当てた100万分の1秒後、イスの角の部分にあるカルシウムに水分子が結合。5000分の1秒後に水分子が消えて酸素原子が出現し、200分の1秒後には酸素原子がイスの内側へ移動していた。この間、イスと周囲を取り巻くたんぱく質は柔軟に形を変え、反応を支えていることもわかった。

 沈教授は「今後は酸素が分子となって外へ出て行く過程を突き止めたい」と話す。

 天尾豊・大阪公立大教授(生体触媒化学)の話「水が分解されて酸素ができる機構の解明に向けた大きな前進だ。今後、水分解機構の全容が解明できることを期待したい」

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