JR仙台駅西口(仙台市青葉区)の商業施設「EDEN(エデン)」と、市地下鉄泉中央駅(泉区)近くの大型ショッピングセンター「アリオ仙台泉」が31日、それぞれ閉店した。常連の買い物客からは営業終了を惜しむ声が上がった。土地や建物を所有する大手企業は跡地の利用をいずれも「未定」とするが、主要駅に近接する商業地の再開発への関心は高まりそうだ。
エデン 仙台駅前の一等地、出店者は「残念」
エデンでは入居する小売店や飲食店が最後の接客や閉店準備に追われた。2011年7月のオープン時から営業を続けてきた店舗の関係者は「契約があるので仕方ないが、残念だ」と感慨深げに話した。
ラーメン店「亜呉屋」を運営するハーバーコーポレーション(山形市)の高橋和仁社長(60)は「オープン時から店を構え、東日本大震災の被災者も多く来店してくれ、支えになった。次の店舗も仙台市中心部で探したい」と前を向いた。
帽子販売店「ギフトハット」のスタッフ三浦尚之さん(27)は「昨年3月に開店し、やっと認知されてきたタイミングだった。都心部の一等地で、旅行客にも寄ってもらっていただけに痛手になる」と語った。
エデンは仙台ホテル跡地に整備され、飲食を中心に15店が営業した。土地と建物を所有するオリックスグループは、入居テナントとの契約を18年から2年ごとに延長してきたが、昨年10月にテナント側へ閉店の意向を伝えた。
オリックスグループは隣接地で時間貸し駐車場になっている「GSビル」跡の土地も所有する。グループ広報・渉外部は取材に「エデンの施設は春に解体する。その後の活用策は現時点で未定」と説明した。
アリオ仙台泉 店長が31年の愛顧に感謝「店があったことを忘れないで」
セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のアリオ仙台泉では、イトーヨーカドーの食品売り場などで最終セールが行われた。1階に設けられた大型ボードには、約3000人の来店客が思い出や感謝の言葉をつづったメッセージが掲示された。
来店した泉区の無職長野敬子さん(76)は「震災後に閉店のうわさもあったが、よくここまで営業したと思う。同じ場所で、弁当がそろうスーパーが営業してほしい」と願った。
営業終了後の午後8時15分ごろ、深井洋一店長が店舗入り口に立ち「31年間、ご愛顧してくれたお客様に感謝したい。泉中央にこの店があったことを忘れないでほしい」とあいさつした。
アリオ仙台泉は1992年開業のイトーヨーカドー仙台泉店が前身。営業不振で一時は閉店が検討されたが、震災後の業績回復を経て、2013年4月にリニューアルオープンした。
店舗は地上5階、地下1階で多数の専門店がテナントとして入居した。セブン&アイHDは経営合理策として、昨年9月にアリオ仙台泉の閉店を発表した。
土地の一部と建物を所有する住友商事の担当者は取材に「建物を残すのか、解体するのかも含め、検討している段階」と語った。