福島・南相馬で発掘のオウムガイ化石2種、太平洋西部で初発見 県立博物館などのグループ

福島県立博物館(会津若松市)の猪瀬弘瑛主任学芸員らの研究グループは、福島県南相馬市鹿島区で2022、23年に発掘された中生代のオウムガイ類2種の化石が、日本を含む太平洋西部では初めて発見された種類だと発表した。研究グループはオウムガイ類の進化を解明する手がかりになると期待する。

進化の解明の手がかりになると期待

 うち1種は東北大のサークル、地学ゼミナール所属の鈴木颯一郎さんが22年3月、中生代白亜紀の約1億4500万~1億3260万年前の地層で見つけたシュードノーチラス属の化石。直径31センチほどで国内最大級という。

 もう1種は相馬中村層群研究会の西夏輝さんが23年6月に中生代ジュラ紀の約1億5480万~1億4500万年前の地層で発見したパラセノセラス属の化石。直径約7センチだった。

 猪瀬氏によると、生きた化石とされるオウムガイ類の現生種はサハリンからパプアニューギニアまでの太平洋西部だけに生息。ジュラ紀にはヨーロッパや北アフリカ、インド西部周辺にいたが、太平洋西部ではほとんど発見されていない。何らかの理由で白亜紀以降に太平洋西部で増加したと考えられている。

 太平洋西部でジュラ紀と白亜紀の境界付近で確認されたオウムガイ類の化石は今回発見された2種の他、相馬中村層群と福井、大分両県の地層で見つかった3種しかない。

 猪瀬氏は「オウムガイ類が一定の形態的、生態的多様性を持っていたことが分かる」と話す。研究チームは今後、種の特定や生態の解明を進める。

 シュードノーチラス属の化石は3月1日まで福島県立博物館で、パラセノセラス属の化石は同3日まで南相馬市博物館で展示される。

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