宮城県内有数の奥座敷の一つ、仙台市青葉区作並地区で大麻を栽培するなどしたとして、仙台北署は1日、大麻取締法違反容疑で、撮影業の大山博容疑者(53)=青葉区=を逮捕したと発表した。人けのない山林内のプレハブ小屋を拠点に大麻草を堂々と栽培していた。容疑者と思われる男が地元住民には「エビを育てている」とうそを言い、追及を免れていた。
現場は国道48号沿いの小道を入って約1キロほどの山林。周囲に小屋以外の建物はなく、人の出入りはほぼない。周辺を散歩する近くの男性は数年前、大山容疑者と思われる男を見かけたことがある。
男性が話しかけると、男は小屋の土地所有者の知人を名乗った。「小屋でエビを育てている。ここから運んで、市場に持っていっている」と説明した。男性は「山奥に電気や井戸水を引いていたようなので納得してしまった」と振り返る。
関係者によると、小屋の窓ガラスはカーテンで仕切られ、中はうかがえない。小屋の隣には、ブルーシートに囲まれた約20メートル四方のエリアがあった。高さ1メートル以上の青々とした大麻草とみられる植物が何本も見えたという。
小屋近くの小道には4、5年前から「立ち入り禁止」と記された立て看板が設置されている。禁止区域とされているにもかかわらず、複数の地元住民が毎週、小屋の方へ歩く男の姿を目撃していた。
県警によると、小屋には栽培道具や乾燥大麻をビニール詰めする設備があったという。隣のブルーシートで囲まれたエリアには大麻草55株が栽培されていた。
県警は昨年11月、小屋を家宅捜索した。押収した大麻草を乾燥大麻に換算すると約3キロの量になるという。末端価格は約1500万円に上る。県警の担当者は「県内で屋外栽培の摘発は珍しく、量も多かったケース」と説明する。
仙台北署は今年1月、大山容疑者から乾燥大麻を有償で譲り受けた大麻取締法違反容疑で男女2人を逮捕した。プレハブ小屋を起点にした大麻の売買などが広がっているとみて、署は関連の捜査を進めている。