お金は知っている 中国GDP発表に疑義はさまず…西側のメディアやIMF、OECDは習近平政権の〝隠蔽〟に屈するのか

中国の習近平政権は「中国経済衰退」の言説をなす外国人を「反スパイ法」違反で拘束すると脅す。国内のメディアやネットの締めつけも激化している。

2月2日付の米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版によれば、国家安全部は昨年12月、「国家安全保障」を理由に、経済への否定的見解を出す者への警戒指令を発した。以来、中国のエコノミストやジャーナリストの論評がインターネットから姿を消したという。SNSの微信微博(ウェイボー)は当局の指示に従って、ネガティブなコメントを載せないようにしているようだ。

北京の強権を恐れているのか、西側のメディアや金融資本は、昨年の実質経済成長率が5・2%と高水準を維持したとする国家統計局の国内総生産(GDP)発表に疑義をはさまない。そればかりか、国際金融の総本山、国際通貨基金(IMF)、さらには世界最大のシンクタンク、経済協力開発機構(OECD)も相次いで発表した世界経済予測で、中国に関しては当局の言い値通りの成長率をベースにした。社長が選んだ中途採用手法とは?

社長が選んだ中途採用手法とは?

PR

<企業様向け>ビズリーチ

今年の中国実質成長率予想はIMF4・6%、OECD4・7%であり、米国についてはいずれも2・1%、日本は0・9%、1%だ。景気拡大基調が続く米国の2倍以上の速度を中国は堅持だというのだから、習氏の思うつぼだ。選りすぐったはずの国際エコノミスト集団がよくもまあ、北京発表をそのまま全世界に向けて発信とはあきれる。

前述のWSJが報じた中国での削除記事の中には、北京の経済メディア「財新」12月25日掲載の社説がある。それは「事実から真実を求める姿勢を貫かなければ、不適切な政策を適時修正することはできない」と指摘していた。国際機関にもこの警句があてはまるではないか。

拙論は前回の本欄や産経新聞の拙コラム「経済正解」6日付で、中国GDP統計の噓とIMF予測の欺瞞(ぎまん)を暴いたが、その後もOECDまでもがIMFに追随する始末なので捨ててはおけぬ。中国高成長の噓を改めて本グラフで示してみた。

グラフの原データはGDP統計と同じく中国国家統計局発である。GDPはざくっと言えば消費、固定資産投資、純輸出(輸出入の差額)の合計値だ。それぞれの項目別のデータを拾い出し、GDP総額に占める比率、さらに前年比の増減率を算出すればあらかたのGDP成長率に占める割合がわかる。これらの数値は名目値で、当局のGDPも同じ原データを使うはずだ。が、不可解なことに固定資産投資は原データが前年比マイナス12%なのに、GDP統計では大幅なプラスだとした。固定資産投資の柱、不動産投資が16・5%減なので、固定資産投資大幅増はありえないのに、である。この違いが当局発表の2023年の成長率を名目で4・6%とした最大の要因である。他にも、GDP統計は家計消費を過大に計上した疑いがある。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

タイトルとURLをコピーしました