「カイロを便器に流され週に何度も修理」「私有地で勝手に雪遊び」 中国人観光客に人気の白川郷の住民が嘆く「観光公害」

人気の訪問先5位が岐阜県

 中国の旧正月春節」をコロナ禍後で初めて迎え、訪日観光客の数に弾みがついているという。延べ90億人もの人民が大移動するとの触れ込みだが、すでに日本国内では数々の「観光公害」が。その被害に悩まされている岐阜県・白川郷で取材をすると、中国人観光客による信じられない振る舞いの数々が……。

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【写真を見る】「雪の中にポイ捨てゴミを隠される」 白川郷の惨状

 アジア最大級の旅行予約サイト「KKday」によれば、日本で人気の訪問先は1位が東京、次いで大阪、北海道、京都の順に続くが、5位に急浮上しているのが岐阜県だという。

「この予約サイトを利用して春節に岐阜を訪れる予定の訪日客は、前年比200%、3倍に急増しています。世界遺産・白川郷の合掌造り集落の雪景色を楽しめる。そうした情報を県などがコロナ禍でもSNSなどで積極的に発信し続けた成果でしょう」(社会部デスク)

使い捨てカイロを便器に流す者も

「当地への来訪者の8~9割が海外の旅行者で、昨年までは欧米からの来訪者が多かったのですが、今年はコロナ明けと春節の影響か中国系の人々がずいぶんと増えています」

春節を迎え、インバウンドでにぎわう白川郷

 と話すのは、白川郷観光協会の井高篤史氏(43)。

「中国人は香港や台湾の方を合わせれば外国人観光客の4割近く。大勢の人に来ていただくのはうれしい反面、多くの住民がトラブルに悩まされています。白川郷では入場料を徴収しておらず予算に限りがあるのでゴミ箱を設置していません。それでトイレにゴミをポイ捨てする人が増えています」

 今の季節だと、使い捨てカイロを便器に流す不届き者まで現れ、週に何度も業者を呼んで修理しなければならないこともあったそうである。

 合掌造りの家に泊まれることで人気の「民宿かんじや」で働く矢野智代美さん(59)が、こう明かす。

「意外とポイ捨てが少ないと思うかもしれませんけど、隠されているだけ。お団子を食べた後の串とか飲み終わったペットボトルを、雪の中に紛れ込ませる人が本当に多い。春になって雪が溶けると、そこら中がゴミだらけになるんです」

「私有地への立ち入りも本当に困る。しばしば雪かき用のスコップを勝手に持っていかれて、雪遊びに使われるんです」(同)

「無断で自宅駐車場にレンタカーを停められてしまう」

 中日ドラゴンズ投手・根尾昂(23)の祖父で「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」元会長の治吉氏(86)に聞くと、

「私たち地域住民は奇麗な雪景色を訪れた皆さんに見せてあげたいという気持ちがありますが、どんどん観光客が雪原に入るので、たくさんの足跡で汚い雪景色になってしまう。私は白川郷が世界遺産に登録される時に『守る会』の会長をして、その時からゴミの問題もあったので『あなたの手で世界遺産を汚せますか』という看板を作って啓発したのですけどね……」

 近隣住民の上手英二さん(65)は、こう憤る。

「ちょっと車で買い物に行った隙に、自宅の駐車場にレンタカーが無断で停まっているなんてことはしょっちゅうある。注意してもどかないから困ったもんだよ。歩行者天国だとでも思っているのか、道の真ん中を広がって歩くから仕方なくクラクションを鳴らすと、逆ににらまれることもある」

「無断で敷地に入って雪上で寝転がったり雪だるまを作り始め…」

 ついに住民たちも堪忍袋の緒が切れたのか。中国系と思しき観光客に注意する紳士に遭遇した。

 土産物店「めめんこ」を営む和田保雄氏(65)は、

「無断でウチの敷地に入って雪上で寝転がったり雪だるまを作り始めたりするんだけど、事故とか起きたらコチラの責任問題になる。だから注意しに行くと大体が中国系の観光客。柵をしても効果がないんですよ」

 前出の井高氏に聞くと、

「雪のある一帯は私有地が多く、雪目当ての観光客が近づけばトラブルが起きる。住民の皆さんが我慢できず注意すると、外国人観光客が“店の人に怒られた”と訴えてくる場合もあります。観光協会にいる中国系スタッフに依頼して、通訳として仲裁や謝罪をしてもらい、大きな騒ぎにならないようにしています」

 こうした傾向は岐阜に限った現象ではない。2月15日発売の「週刊新潮」では、全国各地を悩ませる「観光公害」について4ページにわたって詳報する。

「週刊新潮」2024年2月22日号 掲載

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