仙台の貞山運河、震災がれき「なし」 市の水中地形調査で安全運航にめど、小型船遊覧イベント開催へ前進

仙台市が昨年9月に行った貞山運河の水中地形調査で、東日本大震災の津波に伴うがれきや堆積物がほぼなかったことが分かった。浅いためしゅんせつの必要性が指摘されていた水深も1・5~2メートル程度と判明。安全な運航に一定のめどが立ったことから、市は2024年度、若林区藤塚地区周辺の運河を小型船で遊覧するイベントを検討している。

約2㎞を周遊、24年度の開催検討

 市は国や民間事業者と連携し、同地区に海岸公園を26年度末までに完成させる方針。園内に整備する親水護岸では、渡し船の運航を計画する。

 調査は市の委託業者が23年9月7~8日、満潮でも干潮でもない日中の時間帯に実施。宮城野区の七北田川南水門から若林区の名取川河口部までの「新堀」と呼ばれる約9・5キロを対象に、ボートで2往復し、魚群探知機で底部のデータを収集した。

 若林区荒浜から宮城野区岡田にかけての約2・5キロでは藻の繁茂を確認。スクリューに絡まるトラブルが起きたが、生物多様性の保全を考慮し、県への撤去要請は現時点で考えていないという。調査結果は運河を所管する国と宮城県で共有した。

 遊覧イベントは、名取川河口部から若林区井土付近までの約2キロを小型船で周遊し、津波に耐えて残った海岸防災林などを船上から眺めてもらう内容が柱で、複数回の開催を模索する。24年度予算案に計上した貞山運河利活用推進費(112万円)を充てる予定。

 東北地方整備局仙台河川国道事務所が22年10月から約1年間、井土地区の貞山運河水門で測定した潮位データも操船の参考にする。若林区海浜エリア活性化企画室の東浦佳則室長は「貞山運河は仙台市の復興のシンボル。調査結果を基に、震災前のように船の利活用を進めたい」と話す。

 名取川の対岸にある名取市閖上地区では22年、周遊船「ゆりあげ丸」(0・8トン)が就航した。

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