仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は15日、「国内総生産(GDP)で日本を上回ったドイツはなぜうれしくないのか」との記事を掲載した。
内閣府が15日発表した昨年のGDP速報値によると、ドル換算の年間名目GDPが4兆2106億ドルとなり、ドイツの4兆4561億ドルを下回って世界4位になったことが明らかになった。
記事は「日本は昨年第3四半期から2期連続でマイナスとなり、これは日本経済が衰退状態に入ったことを意味する」と指摘。「日本のメディアは『2010年に米国に次ぐ第2位の座を中国に譲った日本が、第3位の座も失った』と嘆いており、日本の落胆は非常に現実的なものだ」と伝えた。
また、仏紙ル・モンドの「日本の米国を追い越すという夢はとっくの昔に歴史になった。木曜日に発表された数字はとても残酷で、日の沈まない帝国は米国を超えられなかったばかりか2010年に中国に追い抜かれ、今またドイツにも抜かれた」との論評を引用してその衝撃を伝えている。
一方で、「こうした数字はやや誤解を招くものだ」とも指摘。「この差の原因は欧州のインフレ率がはるかに高く、ドイツのGDPを膨張させたことにある。加えて円が軟調でドルに比べて劣勢になっていることもある」とした上で、「インフレ要因を除いた実質値ベースでみると、日本の昨年のGDPは前年の1%増から1.9%増となったが、ドイツは0.3%縮小した。一言で言えば、ドイツの状況は日本に比べてそれほど良いわけではない」と論じた。
あるエコノミストは日本とドイツについて「同じような経済的困難に見舞われている」と分析。「双方とも輸出大国で、巨大な企業と無数の中小企業からなる産業構造を背景に国際貿易で主導的な地位を占め、どちらも中国の台頭から大きな恩恵を受けていた。しかし現在、中国経済の減速や地政学的緊張、エネルギーコストの増大が企業の競争力を弱め、深刻な被害を受けている」との見方を示したという。
記事は、「ドイツも3位の座は長くは保てない。インドのGDPは数年以内に日本やドイツを追い抜く可能性がある」とし、フィッチ・レーティングスの首席エコノミスト、ブライアン・クルトン氏が「新たな人口大国であるインドの活発な経済は、早ければ25年にもドイツや日本と肩を並べるだろう。もちろん、1人当たりGDPでは大きく及ばないが」と語ったことを伝えた。(翻訳・編集/北田)