宮城・多賀城は津波の痕跡少ないけれど… 実はここまで来ていた! ジオラマ投影で可視化 市図書館で展示

 宮城県多賀城市の地形を7500分の1サイズで再現したジオラマが、同市の市立図書館1階で展示されている。県が2022年に公表した津波の新浸水想定などが映像で表示され、幅広い世代の防災意識を啓発する内容となっている。

新浸水想定も映像で分かりやすく

 ジオラマは段ボール製で、市内の高低差を忠実に再現。10分おきに新浸水想定のシミュレーションと東日本大震災の浸水状況がプロジェクションマッピングで投影され、両方の比較や、どの地域が浸水域になるかを一目で確認できる。

 拡張現実(AR)も体験可能。スマートフォンをジオラマにかざすと、多賀城高災害科学科が作った「津波伝承まち歩き」の地図や動画が表示される。古来より津波が来ないと言い伝えられる「末の松山」など市内に点在する歌枕の説明や史跡周遊コースの紹介もあり、文学や歴史の学びも深められる。

 ITを防災減災に活用する仙台市の「BOSAI-TECH(防災テック)」事業の一環で、一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク(横浜市)が作製。多賀城市は震災後、現地再建したため津波被害の痕跡が少なく、市民や市外からの訪問者に被害の実態を伝えようとジオラマを展示した。

 市危機管理課の担当者は「文字よりも記憶に残るし、立体的に見ることで平面図よりイメージしやすい。子どもたちや若い世代に分かりやすく伝承し、自助意識も高めたい」と話す。

 展示は3月11日まで。午前9時~午後9時半。

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