政府は「永住者」の在留資格を持つ外国人について、税や社会保険料を納めない場合に永住許可を取り消せるようにする方針を固めた。 【ひと目でわかる】住基台帳に基づく日本人、外国人の人口推移 日本で中長期的に暮らす外国人の増加が見込まれる中、制度の「適正化」を図るのが目的。今国会に入管難民法改正案を提出する考えだ。関係者が25日までに明らかにした。 永住者は滞在期間や就労活動に制限がない在留資格。(1)10年以上日本に在留(2)懲役刑などを受けていない(3)納税などの公的義務を履行―といった要件を満たす人を対象に、法相が許可する。昨年6月末現在で88万人余りに上る。 現行法では、永住許可後に要件を満たさなくなった場合、資格を取り消すことは原則としてできない。 出入国在留管理庁は、永住者が故意に納税などを怠る事例があるとして問題視。悪質なケースについては地方自治体が同庁に通報し、許可を取り消せる仕組みに変えることにした。1年超の懲役刑や禁錮刑(来年6月から「拘禁刑」に一本化)を受ければ現行制度でも強制退去の対象となるが、新たに1年以下の懲役・禁錮刑を受けた場合も取り消し可能とすることを検討している。 政府は、外国人技能実習制度に代え、外国人労働者を中長期的に受け入れる「育成就労」を創設する方針。これにより永住許可の要件を満たす外国人が増えると見込まれている。 自民党の外国人労働者等特別委員会は昨年12月、制度の適正化を求める提言を小泉龍司法相に提出した。党関係者は「永住者をしっかり審査し、日本国民と同様の義務を果たしてもらうようにしなければならない」と強調する。 政府は育成就労制度創設のための関連法案を今国会に提出する方針。永住者関連の法改正も一体で進める考えだ。 ただ、税や社会保険料の滞納には、貧困など悪質とは言えない事情を抱えていることもあり得る。外国人問題に詳しい弁護士は「受け入れた人を追い出す、『共生』とは真逆の発想だ」と指摘している。