宮城県内の3・11追悼式、今年は仙台・石巻・東松島の3市のみ…献花のみや「5年に1度」も

東日本大震災で被災した宮城県内の沿岸15市町のうち、3月11日に追悼式を行うのが、今年は仙台、石巻、東松島の3市のみになった。昨年、類似の式典を行った塩釜市が献花台の設置に変更し、七ヶ浜町も献花だけにする。今年で震災から13年。各市町が追悼の形を模索している。(奥山大輝、秋元恵実)

 塩釜市は、昨年の3月11日は「追悼献花式」を実施した。震災を経験していない子どもたちに復興や防災を考えてもらう日にしようと、市内の中学生も参加し、震災を教訓とする宣言を行った。

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 だが、今年は式典の実施を見送り、3月11日午後1時から同4時まで、千賀の浦緑地で献花を受け付ける形に変更する。市の担当者は「被災から年数がたつ中、今後も継続可能な形式を考えた」と説明する。

 それでも「追悼や伝承の意思は絶やしてはいけない」として、献花台周辺で発生時刻の午後2時46分、集まった市民らで黙とうをささげる。市立第二中の吹奏楽部が追悼演奏も行う予定だ。

 追悼式を昨年行った七ヶ浜町は、遺族へのアンケートを基に追悼式は5年に1度の開催とすることを決めており、今年は七ヶ浜国際村と町公園墓地の2か所での自由献花とした。

 一方、仙台市は昨年同様に宮城野体育館で午後2時半から追悼式を行う。新型コロナの5類移行を受け、休止していた市内団体による合唱を5年ぶりに復活させる。今年は「みやぎの『花は咲く』合唱団」が「花は咲く」など2曲を披露する。同体育館や勾当台公園市民広場、宮城野区役所など市内9か所には献花場を設ける。

 このほかの式典を実施しない沿岸自治体でも、利府町を除き、献花台を設置して一般の参加を受け付ける。

被災者に配慮しサイレン低音に…石巻市

 石巻市は、震災の発生時刻午後2時46分に合わせて防災行政無線で市内全域に鳴らすサイレンを例年よりも低い音にする。以前から「サイレンを鳴らさないでほしい」といった声が市民から寄せられており、被災者や遺族の心情に配慮して音源を変更した。

 市危機対策課によると、これまで追悼時に1分間流してきたサイレンには大津波警報の発令時と同質の音を使用していた。市震災伝承推進室の担当者は、今回は試行的な対応だとして「市民の反応を見て、今後どうするかを検討する」としている。

 市は震災発生から13年を迎える11日午後2時40分から、石巻南浜津波復興祈念公園内の市慰霊碑前で追悼式を開催する。発生時刻にはサイレンに合わせ、出席者が黙とうを行う。

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