仙台市教委が新年度、市立小中学校全182校で導入予定の「集金アプリ」に対し、保護者の不満がくすぶっている。教材費やPTA会費といった学校納付金を支払うたび、数百円の手数料が生じるためだ。市教委は教職員の負担を減らすデジタル化の取り組みに理解を求めるが、降って湧いた負担増に保護者からは「小中の9年間で考えると決して少ない額ではない」との声も上がる。
(報道部・佐藤理史)
1回200~320円
市教委によると、学校はスマートフォン用の集金アプリ「シグフィー」を使い、集金内容のメッセージを送信。通知を受けた保護者はクレジットカード決済、コンビニ収納のいずれかの方法で支払う。市は新年度一般会計当初予算案にアプリ利用料2500万円を計上した。
導入は教職員の働き方改革の一環だ。現在は現金徴収や口座引き落としなどで対応。集金を知らせる文書を印刷して配布したり、支払い状況を確認したりする業務の負担が大きいという。市教委学事課の担当者は「アプリを使えば、大幅な省力化が期待できる」と狙いを説明する。
保護者側もキャッシュレス化により一定のメリットはある。太白区の小学生2人の母親(42)は「現金を使う機会が減る中、お釣りが出ないように小銭を用意する煩わしさがなくなる」と前向きに捉える。
学校現場で進むデジタル化は利便性向上につながる半面、手数料という副産物をもたらす。集金アプリ利用時の決済額に応じ、1回200~320円程度かかる。1万数千円の納付金を年3回に分けて集める場合、手数料負担は計600円前後となる見込み。市教委には「手数料が高過ぎる」との批判が複数の保護者から寄せられているという。
市教委の説明不足を指摘する声も多い。1月下旬以降、学校を通じてプリント1枚だけでアプリ導入を保護者に周知したためだ。
宮城野区の小中学生3人の母親(41)は「専ら学校の負担軽減のためだ。なぜ保護者だけに負わせるのか。プリント1枚だけでは何も分からない」と憤る。
今月20日の市議会2月定例会一般質問でも話題に上った。福田洋之教育長は答弁で「集金回数を絞るなど手数料負担を少なくする工夫をする」と強調。「アプリを利用しない保護者には代わりの方法を案内する」と柔軟な姿勢も示した。