仙台湾岸に造られた貞山運河への理解を深める歴史セミナーが23日、名取市文化会館であった。
市史編さんに携わる郷土史家の菅野正道さんは、市内の閖上湊(みなと)が江戸時代初期にかけて交易拠点として機能していたと説明。仙台藩は1605年ごろに阿武隈川から閖上湊に運河の一部「木曳(こびき)堀」を建設するが「どう使われたのか記録がほとんどない。これを掘り起こすのが市史編さんのテーマ」と話した。
さいたま市教委の井上拓巳学芸員は、仙台藩が江戸に廻米(かいまい)する船運に閖上船も従事し、1772年に千葉県の房総沖で船が破損した記録を紹介。79年には閖上船「大乗丸」が現在のベトナムまで漂流した。井上さんは「江戸時代は漂流の時代で、閖上湊の関係者たちも過酷な体験をしていた」と思いをはせた。
セミナーは一般社団法人貞山運河ネット(名取市)が主催し、昨年の仙台開催に続いて2回目。約310人が耳を傾けた。