宮城県南三陸町と石巻市にまたがる景勝地・神割崎に残る伝説を物語に再現したアニメーション作品「神割り岩」が完成した。町の魅力発信や町内での文化伝承に役立てようと、町や町観光協会でつくる実行委員会が人気テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」の制作スタッフと共に手がけた。
自然の恵み分かち合う大切さ伝える 魅力発信、文化伝承へ
神割崎には、隣り合う集落が浜辺に打ち上がったクジラの所有を巡って争っているところに雷が落ち、割れた岩が示した境界でクジラを分けたという伝説が残る。
作品は約5分で、住民は愛くるしいタッチで描かれる。「神様が怒ったんじゃないだろうか。わしらがけんかばかりしよるから…」。物語の終盤、住民はようやく過ちに気付く。
自然の恵みを分かち合う大切さを伝えるとともに、岩の裂け目から朝日が昇る神秘的な光景も色鮮やかに描いた。
町役場で11日に完成上映会があり、町民ら約70人が鑑賞。同町歌津の自営業千葉一平さん(40)は息子の敦仁君(7)と訪れ「民話が立体的に伝わった。地元の子どもたちが地域を知るきっかけになりそう」と話した。
監督を務めた一般社団法人日本昔ばなし協会(東京)の代表理事沼田心之介さん(43)は「子どもたちが楽しめる仕上がりになった。アニメで神割崎をさらに発信してほしい」と語る。実行委員長の佐藤仁町長は「町内の学校教育でも活用したい」と喜んだ。
日本財団(東京)の「海ノ民話のまちプロジェクト」の一環で、2023年度は南三陸町を含む全国25カ所で民話がアニメ化された。作品は動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されている。