さようなら「ソフト麺」山形の学校給食から姿を消す 業者が廃業 児童からは惜しむ声

山形県内で学校給食用の「ソフト麺」を唯一製造してきた鈴木製麺(天童市)が廃業を決め、県内でソフト麺を使った献立が本年度で終了する。米飯中心の献立が広がる中でも、児童生徒に親しまれてきた給食の定番メニューが姿を消す。

 山形県天童市内で最後の提供日となった21日。高擶(たかだま)小(児童382人)の6年生の教室では、給食の時間に合わせて感謝を伝える会が開かれた。「ソフト麺のことを大人になっても思い出してほしい」。取締役営業部長の飛塚裕司さん(62)は児童から手紙を受け取り、こう語った。

 児童は麺の袋を破り、おわんたっぷりのカレーに麺を漬けて味わった。及川颯斗(はやと)君(12)は「心を込めて作っていることを知り、よりおいしく感じた。もちもちした食感が好きだった」と提供終了を残念がった。

 鈴木製麺は県学校給食会に委託され、1968年にソフト麺製造を始めた。うどんよりも少し細い麺が特徴で、県内16市町村の学校に配達してきた。ピーク時は年間約91万食を作った。

 飛塚さんは廃業理由に原材料の高騰などの影響を挙げた上で「児童が減り、少子化も如実に感じていた」と振り返った。県学校給食会によると、ソフト麺を週1回ほど提供した時期もあったが、近年は月1、2回ほどにとどまっていた。

 鈴木製麺は3月20日で営業を終える。飛塚さんは「子どもたちが食べている姿を初めて見て感動した。最後まで衛生面に気を付け、おいしいソフト麺を届けたい」と語った。

 宮城県学校給食会は15年度にソフト麺の提供を終了した。製麺業者が減り、給食の主食がご飯やパンに移ったことが理由という。

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