宮城県富谷市は4日、市が目指す泉中央(仙台市泉区)以北の基幹公共交通システム整備を巡り、2023年度に実施したバス高速輸送システム(BRT)の導入可能性調査の概要を、市役所であった市総合交通検討委員会で報告した。泉中央から同市明石台までの一部にバス専用の地下道を通す案で、事業費を約85億~208億円と試算した。
概要書によると、市はルート3・8キロのA案と、4・3キロでバスターミナルを設けないB案を想定。各ルート南側の2・4キロ、1・8キロを地下化し、定員80人の燃料電池(FC)か電気自動車(EV)のバスを1日19時間運行。所要時間を約10~12分と見込んだ。
車両の燃料や保有の方法に応じ、事業費の見込みを6通り算出。B案でFCバスを賃借した場合は約85億円で最安、A案でFCバスを購入した場合が約208億円で最多となった。
片道運賃大人210円で40年度開業と仮定すると、最短でA案は30年後、B案は13年で累積資金収支が黒字に転じるとした。
調査結果を踏まえ、市は24年度も、地下鉄かBRTを候補に基幹公共交通の在り方の検討を続ける方針。
市交通推進室の担当者は「調査結果はあくまで検討材料であり、富谷市だけでなく仙台北部都市圏の公共交通と位置付け、今後は県や仙台市と進むべき方向を話し合いたい」と述べた。
市は22年度、単線の地下鉄を整備すると354億~451億円を要するとの調査結果を明らかにした。