5日に閣議決定された道交法改正案では、電動モーターで走るペダル付きバイク「モペット」について、モーターを止めた状態で走行しても、原付きバイクの運転に該当することを明確化した。改正案が成立した場合、この部分は公布から6カ月以内に施行される。モペットは近年、手軽な移動手段として利用が広がる一方、交通違反の摘発や人身事故が増えている。ペダルがあることで「自転車のルールで走れる」と考える利用者もおり、警察庁は法律に明記して周知する。 【写真】破損したヘルメット これを見てもあなたは「不要」? モペットは道交法上は原付きバイクと同じ扱いで、公道を走るには運転免許やヘルメットの着用が必要だ。ただ、「電動アシスト自転車」として販売されているケースもあり、ルールを知らずに運転している人も多いとされる。 警察庁によると、2023年に全国の警察が摘発したモペットの交通違反は345件で、前年(96件)の約3・6倍に急増。違反の内訳は、無免許運転111件▽ウインカーやミラーなどの装備がない整備不良102件▽歩道走行などの通行区分違反45件――の順に多かった。23年に発生した人身事故は前年比30件増の57件だった。 警視庁新宿署は24年1月、無免許でモペットを運転した上、赤信号を無視して時速25キロで交差点に入り、自転車に乗っていた70代女性を転倒させて頭などに約8週間のけがをさせたとして、アルバイトの男性(24)を自動車運転処罰法違反(無免許危険運転致傷)などの疑いで書類送検した。起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。男性は容疑を認め、「公道を走れないと知っていたが、周りの人も乗っているから取り締まりを受けないと思った」と話したという。 目撃した50代男性は取材に「女性は倒れて動けない様子だった。死者が出てもおかしくなかったと思う」と振り返った。【松本惇、菅健吾】