あと1カ月もすれば新学期が始まるが、学級担任を悩ますのがいわゆる「キラキラネーム」。都内のベテラン小学校教師は、「どうすればこの漢字がこの読み方になるのか理解不能に陥る。なかには『これは名前なの?』と首をひねる読み方も」と苦笑する。
こうしたなか、2023年6月に改正戸籍法が成立。これまで戸籍に記載する必要がなかった「ふりがな」を記載することが必須となった。これは全国民が対象で、実務は2025年5月から始まると見られる。同時に、「キラキラネーム」の規制も視野に入りそうだ。
「役所の職員が混乱しないためにもよい制度だと思いますが、背景にはマイナンバーカードの普及に向けた対策という意味合いもあります。マイナカードはローマ字表記もされますから、そもそも正しい読み方がわからないと困ります。
さらに、公金を受け取る銀行口座のカタカナ名との照会にも手間取ってしまいますから、ふりがなは必要なんです。キラキラネームではなくても『幸子』が『さちこ』なのか『ゆきこ』なのか、読み方はそれぞれですから」(社会部記者)
今後、市区町村は住民票をもとに郵送で登録名を通知する予定だ。あっていれば、それが戸籍に転載される。読み方が違っていれば、1年以内に届け出ることで正しい読み方が戸籍などに表記されるという。
とはいえ、この修正も1回限り。しかも、行政側が「この読み方であっているのか?」と疑問を持っても、本人に問い合わせることはないようだ。もし、問い合わせの通知が届いて、間違いに気づいても、そのままにしたらどうなるのか。
「自治体が職権で戸籍に記すことになります。そのため、間違った読み方がそのままになる恐れがあり、1年が過ぎたあとは、家庭裁判所への手続きや許可が必要になります。
また、すでに届出されている名前は問題ありませんが、今後は差別的な言葉、漢字の持つ意味と反対の言葉などは名前に使えなくなりそうです。
法務省のホームページには、却下される例として、《(1)漢字の持つ意味とは反対の意味による読み方(例:高をヒクシ)、(2)読み違い、書き違いかどうか判然としない読み方(例:太郎をジロウ、サブロウ)、(3)漢字の意味や読み方との関連性をおよそ又は全く認めることができない読み方(例:太郎をジョージ、マイケル)》などが示されています。
つまり、これからつける名前に関して、読み方として一般的に認められないものは、役場で受理されない可能性が高まります。
キャラクターの名前も厳しくなりそうです。以前、『光宙(ピカチュウ)』という名前が話題になりましたが、こうした判断に迷う名前は、市区町村の個別判断に委ねられそうです」(週刊誌記者)
地域によってルール化の基準が異なるのも困ったものだが、いずれにせよ、周知不足は明らか。この件を報じた東京新聞の記事を受け、SNSには、
《えっ、マイナカードで「名前」まで規制されちゃうの》
《勝手に改名されるリスクとか普通にポンコツ法案すぎるし、コストも高くなりそうなんだけど》
《回答無しなら職権で記載するっていうのは些か乱暴だと思う 読み方こそ重要だろうよ》
《知らないうちに、いろんなことがどんどん決まっていく》
など批判の声が数多く寄せられていた。どうにもトラブルが多発しそうである。