大学生の就職活動が3月から本格的に始まった。企業の見方はさまざまで人にもよるが、離職者が少ない職場を「働きやすい会社」と評価することは一般的だ。そこで、今回は大手企業の離職状況を見るために、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2024年版のデータを使い、2022年度の「離職者が少ない会社ランキング」を作成した。
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対象は2021年度の単独従業員が1000人以上の会社で、離職者数を単独従業員数で割った離職率も併せて表示している。ただし、こちらは前年の従業員数と離職者が異なる基準の場合もあるため注意が必要だ。
1位は離職者8人の信越ポリマー
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では、ランキングを見ていこう。1位は信越化学系で半導体ウエハ容器が主力の信越ポリマーだ。2022年度の離職者は8人で2021年度の単独従業員1001人に対する離職率は0.8%だった。
2020年の新卒入社者は3年後も全員在籍し、新卒3年後定着率も100%と高いレベルにある。フレックスタイム制度、短時間勤務制度、サテライトオフィスなど勤務柔軟化の諸制度は充実している。
2位は三井不動産の11人で離職率は0.6%。教育研修に力を入れ、1人当たり年間教育研修費用は13.1万円と高水準だ。定年も65歳で役職定年もない。イノベーション創出や社会貢献に資する副業を認めるなど従業員の能力向上に力を入れる。
3位は「ザ・ノース・フェイス」を展開するゴールドウインで13人(離職率1.1%)だった。残業削減のため20時から翌日7時まではネットワークへのアクセス制限を行っている。ノー残業デーの設定などプライベートと仕事を明確に切り分ける取り組みを展開している。
4位は大阪ガスと三菱地所が15人で並ぶ。大阪ガスは従業員数3189人で離職率は0.5%。従業員能力開発に力を入れる。三菱地所は同1053人の同1.4%で多様な働き方を支援している。
以下、6位タキロンシーアイ(16人)、7位新日本空調(18人)、8位丹青社(19人)が続く。
ランキング対象企業の離職率の平均値は4.12%
15位のアズビルは単独従業員数がランキング中最多の5329人。離職者23人で離職率は0.4%だった。勤続年数が長い会社も多く、13位日本電気硝子(22人)は23.2年、26位宝ホールディングス(27人)の23.8年など20年以上の会社が17社もあった。
今回のランキング対象546社の離職率の平均値は4.12%だ。これまで「3~4%」あたりを離職者の少なさの目安としてきたが、上位100社はすべて4%未満となっている。一部、転職が盛んな企業はこの限りではないが、会社の見方として参考にしていただきたい。
1~49位
57~95位
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(岸本 吉浩 : 東洋経済 記者)