仙台市と仙台商工会議所は、昨年末に実施した市内事業所の企業経営動向調査の結果をまとめた。性別や人種を問わず誰でも活躍できる環境の整備について、「積極的」に取り組んでいると回答した企業は3割にとどまった。市経済企画課は「技術革新につながる人材の採用に向け、受け入れ環境を整えることが重要」と分析し、規模が小さいほど消極的な状況を踏まえ、支援策の検討も視野に入れる。
「積極的」な3割は大規模が中心
多様な人材の活躍に向けた取り組み状況の回答結果はグラフの通り。「非常に積極的」「やや積極的」「どちらかと言えば積極的」を選んだ割合は大規模企業が62・5%だったのに対し、中規模は39・0%、小規模は20・0%だった。限られた人員で育休取得者をカバーするなどの態勢の構築が難しいとみられる。
具体的な取り組みを複数回答で尋ねると「積極的な採用」(55・6%)が最も多かった。子育て世代の活躍を促す「環境整備」(49・5%)、時短勤務などの「柔軟な働き方の実施」(40・4%)も目立った。活躍を期待する人材は、女性が66・5%で最多。65歳以上のシニア(54・1%)、障害者(26・3%)、外国人(21・1%)と続いた。
働きやすい環境を整える際に前提となるパワーハラスメントの防止策も質問した。「経営者からの社内通知」(61・4%)、「相談窓口の設置」(54・5%)が半数を超えた。対策を講じていない企業からは「適切な人材がいない」「取り組み方が分からない」などの声が挙がった。
過去3年以内のパワハラの相談は「あり」が17・9%、「なし」が74・3%。実態把握の方法は「社員との面談」が74・4%で最多だった。パワハラ対応の課題(複数回答)は「判断基準の難しさ」(60・6%)、「世代間のギャップ・価値観の違い」(57・1%)との回答が多数を占めた。
調査は四半期ごとに実施。市内事業所1000カ所に調査票を郵送し、昨年12月22日~今年1月12日に644カ所から回答を得た。