悪質ホストにようやくメス 仙台・風俗あっせん事件 自己責任から社会問題への転換必要

ホストクラブが女性客を風俗店に紹介して借金を返済させるよう誘導したとして、宮城県警が立件した職業安定法違反事件は、高額な売り上げを得るため手段を選ばない「悪質ホスト問題」の一端を浮き彫りにした。専門家は「これまで『ホスト通いは自己責任』との風潮だったが、社会問題として認識しなければいけない」と警鐘を鳴らす。
(報道部・高橋葵)

手口あらわ

 事件は仙台市青葉区国分町2丁目のホストクラブ「ノーブル」の元店長草苅亮二容疑者(36)を中心に、従業員のホストの男3人が共謀。女性客の恋愛感情につけ込んで昨年8~10月、20~40代の女性客に数百万~約1000万円の借金をさせた後、風俗店に紹介したとされる。一連の流れはマニュアル化され、店で共有されていたという。

 東京・歌舞伎町の悪質ホスト問題などを扱う若井総合法律事務所の中沢克彦弁護士(東京弁護士会)は「(手口や被害が)これまで表面化していなかっただけだ」と強調する。歌舞伎町周辺では、ホストクラブへの借金返済などのため売春の客待ちをする女性が増え、問題化している。

規制は困難

 近年は交流サイト(SNS)の影響でホストの存在が身近になり、ホストクラブに通う心理的ハードルが下がっている。高額な支払いにつながる売掛金(ツケ払い)を禁止するなどの仕組みが求められるが、中沢弁護士は「営業の自由が保障されており、法規制は難しい。売掛金を禁止している店を選ぶなどの対応が必要だ」と指摘する。

 宮城県消費生活センターによると、本年度のホストクラブ関連の相談は数件程度で前年度とほぼ同じという。被害が潜在化している可能性もあり、担当者は「窓口を積極的に使い、頼ってほしい」と呼びかける。

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 宮城県警は7日、別の女性を風俗店に紹介した職安法違反(有害業務紹介)容疑で草苅容疑者と元従業員の男を送検するとともに、店舗などから押収した従業員のノートやスマートフォン約30点を公開した。

 県警によると、草苅容疑者は「塾」と称した従業員のホストを対象にした勉強会を開き、女性客に高額な飲食代を支払わせるための振る舞いや言動などを「伝授」していた。

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