【緊急警鐘】東日本大震災直前と酷似している…専門家が分析「スーパー南海地震」が確実に近づいている

「千葉県沖でスロースリップによる不気味な揺れが、続発しているのが気になります。’11年3月の東日本大震災前にも、震源地近くでスロースリップによる地震が多発していました。巨大災害の導火線になる可能性があるんです」 【地図】ハザードマップからわかる”危機的現実” 10メートル以上の津波も!?あなたの住む町は… こう警鐘を鳴らすのは、元東京大学地震研究所准教授で深田地質研究所客員研究員の都司嘉宣(つじよしのぶ)氏だ。 スロースリップとは、プレート境界の断層がゆっくりズレ動くこと。小さなズレが何度も起きれば、大きな地震を引き起こすことになりかねない。千葉県沖では2月下旬から震度1以上の地震が25回以上発生し、海底が2㎝ほど南東へ動いたと推測される。都司氏が続ける。 「震源が、さらに南東に移動したら注意が必要です。首都直下型地震を起こす、(神奈川県沖から太平洋に延びる)相模トラフを刺激することになります」 注視すべきは千葉県沖だけではない。今年1月には能登半島で最大震度7の大地震が発生。2月にも、広島県と愛媛県で震度4の大きな揺れを観測している。これらの地震の要因について語るのは、自然災害に詳しい立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏だ。 「東日本大震災以降、日本の東側にある太平洋プレートの動きが活発化しています。太平洋プレートは、すぐ隣にある北米プレートやフィリピン海プレートを圧迫。その2つのプレートがさらにユーラシアプレートに圧力をかけ、各地でおおきなひずみができているんです。日本中で地震が頻発しているのは、ひずみに耐えられなくなっているからでしょう」 ◆津波の速さは時速数十㎞ 懸念されるのが、政府が今後30年間の発生確率を70~80%とするマグニチュード8~9の南海トラフ地震だ。フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界で蓄積したひずみが、限界に達することにより起きるといわれる。 「東日本大震災以降、南海トラフのあるフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界でもひずみが溜まっており、巨大地震の危機が近づいているのは間違いありません」(高橋氏) 今回掲載した3つの地図は、内閣府が算出した南海トラフ地震の被害想定をもとにして作った”危機的現実”だ。最大震度7の大きな揺れ、高さ20mを超える巨大津波、損壊した家電製品や配線などから発生する猛火……。東海地方から九州にかけての広大な範囲が複合的災害に見舞われ、最悪のケースでは静岡県だけで11万人近くが死亡すると予想される。 とくに警戒が必要なのが津波だ。’93年7月に起きた北海道南西沖地震では、最大遡上高(津波が到達した最も高い標高)30.6mの巨大津波が、地震発生からわずか3分後に奥尻島西海岸に辿(たど)り着いている。自然災害が専門の、関西大学特別任命教授の河田惠昭(よしあき)氏が語る。 「南海地震の津波は、海が浅くなっても時速数十㎞の速さで襲ってきます。しかも一度ではない。およそ6時間の内に50分ほどの間隔で何度も押し寄せることがわかっています。とくに満潮時は、津波が高くなるので注意が必要でしょう。大阪などの都心部に住む人も『沿岸部の災害で自分たちには関係ない』と考えるのは危険です。地震発生から約2時間後には大阪市中心部にも津波が到達。地下街が水没し、事前避難しなければ最大4万人が亡くなる可能性があります」 前出の高橋氏も津波への注意を促す。 「’04年12月にインドネシア西部で起きたスマトラ島沖地震では、津波が地球を3周したというデータがあります。しかも1回目の津波により水かさが増した海で起きるので、2回目以降のほうがより高くなる傾向があるんです」 能登地震では、道路の寸断などで数多くの集落が孤立した。南海トラフ地震では、さらに悲惨な状況になるという。 「広範囲の被災地には、交通の便が悪かったり山あいにある集落が多くあります。土砂災害で陸の孤島となり、すぐに自衛隊などが支援できない被災者が多数発生するんです」(河田氏) 政府の想定した南海トラフ地震の最大死者数は32万人超。しかし被害は、それをはるかに上回りそうだ。 さらに冒頭で紹介した通り、千葉県沖で続発する地震により関東の相模トラフも危機に瀕している。 「相模トラフで地震が起きれば、すぐ隣の南海トラフが刺激されます。関東から九州、沖縄地方にかけ、巨大な揺れが連動して発生する『スーパー南海地震』が起きる可能性があるんです。被害は、政府の想定にとどまりません。死者は50万人を超えてもおかしくない。首都圏に住む人も他人事ではありません」(高橋氏) ’95年1月の阪神・淡路大震災の発生確率が0.02~8%、能登地震が5%ほどといわれた。南海トラフ地震の30年以内の発生確率約80%と比較すると、危機が迫っていることがわかるだろう。 「今の研究では巨大地震についてわからないことが多い。わからないからこそ楽観視してはいけないのです。常に最大の警戒と注意が必要でしょう」(河田氏) 起きてから慌てるのでは遅い。避難ルートの確認や非常品の備蓄……。日ごろから震災への対策を怠ってはならない。 『FRIDAY』2024年3月22日号より

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