日本で「結婚しない女性」が増えている「当然の理由」

人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。

100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来の地図帳』は、20年後の日本人はどこに暮らしているのか?人口減少が「10年後、20年後の日本のどの地域を、いつごろ、どのような形で襲っていくのか?についての明らかにした書だ。

※本記事は『未来の地図帳』から抜粋・編集したものです。また、本書は2019年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。

20代女性が大きく減る豊島区

これからの日本では、少子化・高齢化だけではなく、子どもを産む世代の減少も起こってきます。

この5年の0~4歳の人口伸び率は、東京都では千代田区、港区、中央区が伸び率が高く、上位10位以内のほとんどが東京区部が占めています。この5年間で多くの子どもが東京23区で生まれているのです。

しかし、それは東京で生まれ育った女性がその年齢に達したからではなく、地方からその世代の女性が流入しているからなのです。ただ今後は、流入する女性そのものが少なくなっていくので、これからは生まれてこない。

また、2017年の特殊出生率は東京が1.21と、全国平均1.43に比べても非常に少なく、子育てしにくい町とされています。この状況が続けば、東京も子どもが生まれにくくなるのです。

『未来の地図帳』では出産期の女性が減少する地域として東京都豊島区の名前を挙げました。東京の中心地で企業も多く、その近くに住みたいという若い世代も多い、豊島区がなぜ?という話も耳にします。

2020年、20代女性が減少する自治体のトップは、北海道函館市宮崎県都城市で、12.8%も減少します。驚くのは、これに続くのが、東京都豊島区や札幌市南区という大都市圏だということです。以前、この事実が新聞に掲載され、大きな反響を呼びました。

なぜ豊島区から20代の女性がいなくなるのか? たしかに東京でも、職場と住居が近いところを探す、若い世代が増えてきました。港区、千代田区、中央区の人口が増えているのはそれが理由です。豊島区も多くの企業があり、大規模マンションも増えています。

しかし、保育園、学校などの子育て環境などから、豊島区に住んでいる人が他の区へ引っ越すからではないかと思います。

現在豊島区に住んでいる人は、「そんなことはない」と話しているようです。もちろん、東京はここしばらくは、若い世代が移り住むことで、人口は増加しますが、だからといって安心してはいけないのです。

23区それぞれが、住みやすい町にするにはどうしたらいいか、対策を考えて実行しないといけない時期にきています。

人口減少は地方都市のことだけと思っていると、20年後、30年後は地方都市と変わらない状況に東京もなっていくのです。

結婚しない女性が増えている

少子化に加えて、最近問題視されているが、結婚しない女性が増えていることです。

出産期の女性(ここでは、現在子どもを産む約8割を占める25~39歳女性を指す)の「おひとりさま」が増えている。特に大都市圏では、当たり前にもなっています。

現役で働いている時期は、収入もあり、それを自由に使って、自分の好きなことができる。「パートナーがいることで、その自由がなくなってしまうのがいやだ」という女性が多いのです。

しかし、みなさん必ず、年を取ります。定年して仕事もなくなる。やがて自分のことをひとりでこなせなくなる人が増えます。そのときは、若い世代の人口も減少しているので、助けてくれる人はいないのです。

では、どうすればよいのか?

今のうちから、ライフプランを描くことです。親の収入や年金がどれくらいあるのか。親を介護しなくてはいけなくなった場合、親の収入だけで介護費用が賄えるのか。

また、自分が年金を支給される年齢になったとき、どれくらいの収入が見込めるのか、退職金や預貯金など、自分の資産もある程度予測しておくべきです。これは女性に限らず、男性も同じです。

出会いの場を用意する

将来をどうするかは、独身の方々だけの問題ではありません。将来どう生活するのか、またどこに住むのかは、考えておかなければならない大事な課題です。高齢者が増え、それをサポートする年代が減っていく。これはすでに始まっているといってもいいでしょう。

まず、住んでいる地域の中にコミュニティがあるかどうかが大切です自分たちでできることは、自分たちの手でやる。できない人がいれば、助け合う。そんな環境を今から作っておく。

そのためには、住民が広いエリアにばらばらに住んでいるのではなく、自治体の狭いエリアに人を中心に据えた出会いの場を用意し、賑わいを作っていく

それがエリアの活力となって、豊かで安心した住環境が生み出されると思います。新しく作ることは、資金や場所の選定など、いろいろと手間がかかります。ですので、都市部の商店街や繁華街など、すでに賑わっている場所やインフラを活用していけばよいでしょう。

要するに、「小さな王国を作る」わけです。住民の数は、その場所によってそれぞれで構わない。それでも、その場所に住民が集まり住むことで、商店や医療、介護サービスも提供できます。

人が広い地域にバラバラに住んでいれば、サービスを提供するにも、人材も輸送も必要になります。それでは、仕事も産業も成り立ちません。

それでは、具体的にはどんな場所に住めばよいのでしょうか?

坂道もマンションも大変

最近目立つのは、郊外の大きなショッピングモールです。今は車で行くことを想定して、広い駐車場が完備されていますが、将来はショッピングモールを住居と一体化して「王国」にするなど、移動手段がないと行けない場所をあえて、そこにコミュニティを作る。これもひとつの方法です。

また、地図ではわかりにくい起伏も、意外と大きな問題になってきます。高齢になると坂道や段差が大変になるからです。長崎市や尾道市に代表されるように、坂の多い都市に自宅がある場合、移動も大変になります。実際に、坂の上に住んでいる方は、坂の下に降りてきましょう。

土地の起伏だけでなく、最近大都市圏に増えたタワーマンションと呼ばれる高層マンションも同じです。そこの住人は20年、30年後には60代、70代と高齢になります。

今は便利で住みやすくても、高齢になったとき、マンションの30階や40階で生活が続けられるでしょうか?

いくらエレベーターがあっても、買い物や通院など、1階まで降りていかないと何もできないのでは、日ごろの生活が「分断」されます。タワーマンションを終の棲家にするには、疑問です。

年齢を重ねたとき、どこに住むのか、今のままでよいのか、それもライフプランを描くうえでは重要です。元気なうちから高齢者は集まり住んでおく。そのために行政は、町の中心を高齢者住宅や介護施設にし、高齢者が自ら外出し、歩くことですべても用事を完結できるよう整えることが必要です。

自宅のある場所から別の場所に移ることをよしとしない高齢者はまだまだ多いです。限界集落と呼ばれている場所でも、最後まで残っているのは、そこで生まれ育った人ということが往々にしてあります。

しかし、今は何とか生活が成り立っていても、人口が一桁という村や町が増えてきます。2045年には人口が一桁という町村が全国で17も存在し、50人以下であれば140町村と、自治体の存続自体が危ぶまれる状態になるのです。

50人を下回れば、商店、医療、介護など、生活に必要なものがその町からすべてなくなってしまいます。公共交通機関も、採算が合わなければ廃止されてしまう。

20年後にはそんな地域が日本のいたるところにできてくるでしょう。今のうちから、死ぬまで安住できる場所は一体どこなのかを、よく考えておかなくてはなりません。このたび私が著した『未来の地図帳』を読めば、そのヒントが見えてくるはずです。

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