熊本商工会議所の久我彰登会頭(鶴屋百貨店会長)は12日までに産経新聞のインタビューに答え、特定技能での在留資格が認められた業種以外でもさまざまな職種が台湾から来日できるよう、政府に対する構造改革特区の認定申請を熊本県などに働きかけたいとの考えを明らかにした。県内に進出した半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の駐在員や家族らが安心して生活できる環境づくりが狙いだ。
「『台湾特区』のように台湾人コミュニティーを支える人材を地元企業が受け入れ、熊本で不自由なく生活できるようなサービスを提供できるようにしたい」
久我氏はこう指摘する。特定技能の業種指定を緩和すれば台湾から多様な分野の人々が熊本に集まることが期待される。「台湾の人たちが安心して働くことができれば生産性向上につながり、台湾資本の投資も一層活発になる。地元経済も活性化する」との構想だ。
TSMCが第1工場を開所した菊陽町周辺は既に第2工場の建設も予定され、将来的に「1万人規模の台湾人が生活することが十分考えられる」(久我氏)。だが、熊本県内は人手不足が深刻で、特に中国を話せて台湾文化を理解できる人を地元で確保するのは難しく、台湾人コミュニティーの形成支援が課題になる。
特定技能は人手不足解消のため平成31年4月に開始した外国人就労を認める在留資格で、在留が5年に限定された「1号」と、在留期間に上限がなく家族帯同が認められる「2号」がある。1号は現在、介護など12分野で受け入れている。
(田辺裕晶)