全国でパチンコ店などを展開するマルハンが2月、仙台市を拠点に社会人野球に参入すると発表した。「マルハン北日本カンパニー硬式野球部」として2025年春から公式戦に臨み、5年以内の日本一を目指すという。野球部のゼネラルマネジャー(GM)を務める同社北日本カンパニーの本間正浩人事本部長に話を聞いた。(剣持雄治)
「5年以内の日本一目指す」
同社の北日本カンパニーは北海道から三重までエリアが広く、その中で仙台市を本拠地に選んだのは野球熱の高さがあったからという。仙台育英をはじめとした高校野球の全国的な活躍や、岩手県出身の大谷翔平(米大リーグ・ドジャース)、佐々木朗希(プロ野球ロッテ)ら多くの名選手が東北から誕生していることも決め手となった。
練習場は現在、土地探しから進めている。選手選考は第1回セレクションを2月末に千葉県で実施し、大学生を中心に約80人が参加した。第2回は6月に東北地区で開く予定。25年1月にはメンバーを決め、春からの公式戦に備える。
同社はこれまで実業団チーム誘致などスポーツ事業の検討を進めてきた。その中で昨秋から社会人野球チーム創設の話が持ち上がり、実現に向けて動き出した。
選手は原則、マルハンのパチンコ店に勤務し、午前は練習、休憩を挟んで夕方から勤務するなど、仕事と野球を両立させる。引退後も社業に従事できる道を整備するとしている。
本間GMは「効率性を高めた練習をしていけたらいい。ホールで働くことで、選手に個人的なファンが付く可能性もある。10年、20年先の人材獲得や、将来の幹部育成にもつながる」と話す。
館山氏は東北楽天でコーチ経験 「仙台で仕事ができることに縁を感じる」
マルハン北日本カンパニー硬式野球部の初代監督は、プロ野球ヤクルトの投手として活躍し、東北楽天で2軍投手コーチを務めた館山昌平氏が務める。「魅力あるチームをつくりたい」などと意気込みを語った。
-目指すチーム像は。
「誰もが主役になれるチームとなり、どこに出しても恥ずかしくない選手を育てたい。エラーをカバーできたり、打球方向を決めて打てたりと、一人一人が目配り、気配りができるチームにしたい」
-5年以内の日本一を目標に掲げる。
「簡単ではないが、最先端のことを取り入れた練習をして、何か革命を起こしたい」
-就任の決め手は。
「社業との両立というのが大きかった。パチンコユーザーの方に応援してもらうことで、選手が成長できることもある」
-ヤクルト時代に右肘靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)を3度受けるなど、けがに苦しんだ。
「リハビリ期間が長く、体の構造やトレーニングについては勉強してきた。そこは強みにしたい」
-東北楽天で20、21年に2季コーチを務め、再び仙台でグラウンドに立つことになる。
「現役時代から東日本大震災の被災地に物資などを送っており、実際に沿岸被災地に足を運んで『ここで何かしたい』という気持ちが湧いた。イーグルスのコーチのときも休みを利用して被災地に出かけていた。また仙台で仕事ができるのは縁だと感じる」
[たてやま・しょうへい] 日大から03年にドラフト3位でヤクルト入団。09年に16勝を挙げて最多勝に輝いた。19年に引退後、20年から2年間、東北楽天で2軍投手コーチを務めた。通算成績は279試合に登板し、85勝68敗10セーブ、防御率3・32。神奈川県出身、42歳。