宮城県議会、4病院再編の関連予算案を可決 「丁寧な説明に努める」付帯意見付き

宮城県が主導する仙台医療圏4病院の再編構想で、宮城県議会は13日、複数の関連予算が盛り込まれた2024年度一般会計当初予算案を賛成多数で可決した。本会議終了後、村井嘉浩知事は報道各社の取材に応じ「予算を認めてもらい感謝する。一つの大きな山を越えたと受け止めている」と述べた。

 [仙台医療圏4病院の再編構想] 仙台赤十字病院(仙台市太白区)と宮城県立がんセンター(名取市)を統合して名取市に、東北労災病院(青葉区)と県立精神医療センター(名取市)を合築して富谷市に、それぞれ新病院を整備する構想。県と日赤、県立病院機構は昨年12月に基本合意し、新病院を日赤運営の400床程度とする方針を示した。県は東北労災側とも本年度中の基本合意に向け、精神医療センター分院の在り方などの検討を続ける。

 予算案には、仙台赤十字病院(仙台市太白区)と県立がんセンター(名取市)の統合病院整備に向けた基金の積み立てに計上した26億円などが盛り込まれた。

 本会議では、議長と棄権した1人を除く57人による起立採決が行われ、賛成41、反対16となった。

 最大会派の自民党・県民会議など与党3会派は全員が賛成した。第2会派のみやぎ県民の声と日本維新の会は対応が割れ、共産党県議団など野党2会派は反対した。

 当初予算には(1)県として関係者への丁寧な説明に努める(2)がんの医療機能が将来にわたり維持されるよう県が責任を持って協議に当たる-とする付帯意見が付けられた。

 採決前の討論で、自民党・県民会議の議員は「各病院の病床使用率の低下を考慮すれば、再編自体は必要だ」と強調。共産党県議団の議員は「患者、住民ら当事者を無視して構想を進めるべきではない」と批判した。

 4病院再編構想のうち、仙台赤十字病院と県立がんセンターを統合して名取市に新病院を整備する計画は、県、日赤本社、センターを運営する県立病院機構の3者が昨年12月、基本合意書を締結している。

 村井知事は「新病院への基金の積み立てが認められた意義は非常に大きい。付帯意見が付いたので、関係者には丁寧に説明をしていきたい」と話した。

第2会派「みやぎ県民の声」と「日本維新の会」は対応が分かれる 与党は全員賛成も「苦渋の決断」

 13日閉会した県議会2月定例会は、仙台医療圏4病院の再編構想に関連する予算案を可決した。構想に直接絡む議案を巡り、各議員は初めて明確な判断を迫られた。一部の野党会派は内部で賛否が分かれ、賛成で一致した与党会派でも慎重派の議員の心中は揺れた。

 仙台赤十字病院(仙台市太白区)と県立がんセンター(名取市)の統合に対する支援費用を含む2024年度一般会計当初予算案に関する採決で、みやぎ県民の声(10人)は佐々木功悦(遠田)、荒川洋平(名取)の両氏が賛成に回った。

 荒川氏は「日赤とがんセンターの統合には賛成だが、東北労災病院(青葉区)と県立精神医療センター(名取市)の合築には賛同できない」と自身の立ち位置を説明。当初予算案は後者の組み合わせについては調査費用しか含んでいないため、賛成したと述べた。

 県民の声の残り8人は反対した。会長の坂下賢氏(石巻・牡鹿)は「個人的にはまだ機は熟していないと考えた。それぞれに立場や信条がある。会派で一致できれば良かったが、互いの結論を尊重するということになった」と振り返った。

 共産党県議団(5人)と立憲・無所属クラブ(3人)は全員が反対した。日本維新の会(2人)は小野寺健氏(泉)が採決前に退席し、取材に「仙台市議時代に県に慎重な検討を求める決議を提案した経緯がある」と語った。維新の石森悠士氏(青葉)は賛成した。

 関係者への丁寧な説明などを求める付帯意見を提案した自民党・県民会議(議長除き32人)と、公明党県議団(4人)、21世紀クラブ(2人)を合わせた与党3会派は全員賛成。与党会派には昨年10月の県議選で病院再編反対を打ち出して当選した県議も複数いる。

 県民会議の渡辺拓氏(太白)は「苦渋の決断。ワンイシューではなく(病院再編以外の県政課題も)総合的に議論しなければいけない」と与党の立場を強調。支持者への説明に関し「逃げ回るつもりはない。今回は(日赤への支援費用を)基金に積み立てたに過ぎず、県民の不利益を防ぐための戦いは続く」と語った。

県議会、91議案を可決して閉会

 県議会2月定例会は13日、本会議を開き、総額1兆238億円の2024年度一般会計当初予算案や、キャッシュレス決済で手数料を納入できる規定を追加する条例案など91議案を原案通り可決し、閉会した。

 当初予算案には仙台医療圏4病院再編に関する予算が含まれるため、丁寧な説明などを求める意見を付して可決した。大衡村への半導体工場の新設を念頭に、人材育成などに3億2000万円を充てる「みやぎシリコンバレー形成支援事業」なども盛り込まれた。

 他に、生涯を通じた国民皆歯科検診や防災省(仮称)の創設などを求める意見書6件を可決した。任期満了に伴う選挙管理委員の選任では、委員4人と補充員4人を指名推選で決定した。任期は24日から4年。

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