日赤「経営厳しい」 4病院再編で初の住民説明会、住民からは不満

宮城県が主導する仙台医療圏4病院の再編構想を巡り、仙台赤十字病院(仙台市太白区)は20日、名取市への移転計画に関する住民説明会を同病院で開いた。運営主体は日本赤十字社で、再編構想に関連した民間病院の説明会は初めて。身近な病院がなくなる事態に、参加者からは不安や不満の声が多く聞かれた。

 133人が参加し、非公開で開催。参加者らによると、舟山裕士院長が病院の経営について「10年間赤字が続いている。この状況ではいずれ経営破綻する」と強調。住民に対して「クリニック(かかりつけ医)と病院をうまく使い分けてほしい」と要望したという。

 終了後、太白区の無職斎藤信之さん(66)は「説明は病院経営者としての側面が強く、地域に向き合う姿勢に乏しかった」と指摘。同区の無職堤智子さん(76)は「資料配布もなく非公開という手法にとてもがっかりした」とつぶやいた。

 太白区の無職尾形弘行さん(85)は、国が1月に仙台医療圏を病院再編の「重点支援区域」に選んだ際、地域住民の理解を得ることを条件としたことを挙げ「今日の説明では一切納得していない。条件は満たしていない」とぶちまけた。

舟山裕士院長「診療を十分に行えない状況に」

 仙台赤十字病院による説明会終了後、舟山裕士院長が報道陣の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。

 -今日の説明の内容は。

 「ここ10年の経営状況や、マンパワー不足、施設の老朽化などで診療を十分に行えない状況になりかかっていることを説明した」

 「2013年に内部で検討した建て替え計画についても話した。病床を(現在の389床から)250床まで減らしても採算が取れないという試算結果となり、断念した」

 -参加者からの反応は。
「人口の多い仙台市から名取市になぜ行くのかという意見があった。車で15分圏内の医療人口は現在4万8000人だが、名取に行くと5万人を超える。救急医療の南北格差を解消し、病院経営も安定させたい」

 -新病院の概要や跡地の利用については。

 「新病院の体制は今後の協議にはなるが、診療科は30を超えるだろう。跡地利用は今は特に考えはない」

 -病院の移転に納得できない住民が多い。

 「10年先、20年先の医療はイメージしにくいのだと思う。住民には本当に申し訳ないが、できるだけ太白区の患者にも来てもらえるいい病院にしていきたい」

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