宮城・松島の観光客、23年はコロナ前水準に回復 訪日客が増加 小中高の教育旅行も堅調

 日本三景松島で知られる宮城県松島町の2023年の観光客入り込み数が前年比39・0%増の295万2712人となり、新型コロナウイルス禍前の水準に回復したことが22日、町などの調査で分かった。新型コロナの5類移行などを受け、コロナ禍前の19年の99・0%まで戻った。東日本大震災後の13年間との比較でも4番目の高水準だった。

295万人は19年の99%

 19年(年間298万1516人)や、コロナ下で最多だった22年(212万3521人)と比べた23年の月別の入り込み数はグラフの通り。23年は3、7両月と10~12月に19年を上回り、22年を全ての月で超えた。

 23年は、水際対策の終了を受けた国際線の再開で台湾などからのインバウンド(訪日客)が増加し、関東圏などからのバスツアーも復活した。3月の入り込み数は19年同月比21・3%増、夏休みが始まった7月は7・1%増となった。

 瑞巌寺と円通院の紅葉ライトアップ期間の10、11月は19年比でそれぞれ20・4%増、3・3%増。11月は23年最多の38万4222人が訪れ、12月は記録の残る1992年以降で最多の19万5547人と好調を維持した。小中高の教育旅行の需要が高く保たれたのも観光客増の一因となった。

宿泊者数回復はもう一歩

 一方、宿泊者数の回復はもう一歩。23年の宿泊者はコロナ下の20年以降で最多の50万3342人だったが、19年の88・4%の水準にとどまった。1992年以降ではコロナ下の期間を除くと最少。各施設が人手不足で稼働率を落とさざるを得ない状況も背景にある。

 町は入り込み数300万人を一つの目標にする。松島観光協会の志賀寧(やすし)会長(71)は「個人の旅行形態が少人数化し、団体旅行や修学旅行は積極的に働きかけないと来てもらえない。近隣観光地との広域連携などを打ち出して誘客につなげたい」と語る。

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