キリンビールは26日、新たなビールブランド「キリンビール 晴れ風」を4月2日に発売すると発表した。標準的な価格帯では17年ぶりの新ブランドとなる。初年度は主力の「一番搾り」缶の3割程度にあたる430万ケース(1ケース大瓶20本換算)を目指す。2023年の減税以降ビール市場は伸びており、新商品投入で追い風に乗りたい考えだ。
「これからのキリンビールの新定番、一番搾りに次ぐ第2の柱に育てたい。一つ、社会にいい風を吹かせ、明るい未来を築いていきたい」。堀口英樹社長は期待を込めた。07年に発売した「ザ・ゴールド」以来、17年ぶりの新ブランドになる。
23年から開発に着手し、入社5年目の若手もチームに起用した。一番搾りなどの「生ビール」と異なり、加熱処理をして飲みごたえと飲みやすさの両立を実現させたという。麦芽100%で国産ホップ「IBUKI」を使用した。一番搾りと同じ一般的な価格帯の「スタンダード系」で、350ミリリットル缶のコンビニ想定価格は225円前後になる見込み。
晴れ風の売り上げの一部を花見や花火といった「日本の風物詩」を守る活動に寄付する「晴れ風ACTION」も始める。1缶購入すると350ミリリットルで0.5円、500ミリリットル缶で0.8円が自動で寄付される。
さらに、缶に印字されたQRコードなどから専用サイトにアクセスすると、1日1回0.5円分の「晴れ風コイン」を受け取り、応援したい自治体を選んで寄付できる取り組みも実施する。
24年は約8000万円の寄付を計画する。第1弾として4000万円を全国の桜を保全・継承する活動の資金の一部として活用する。第2弾は花火へ4000万円の寄付することを計画している。山形光晴・副社長執行役員は「ビールは日本の風物詩とともに楽しまれてきた。何かビールから恩返しできないかという思いがあった」と話す。25年以降も継続し、数年間で数億円規模の寄付をめざす。
ビールは23年10月の減税以降追い風が吹き、国内大手4社の23年の販売数量は22年比で7%増えた。一方、キリンビールはビール系飲料の数量(アサヒビールのみ金額)が4社で唯一前年を下回った。26年には3度目のビール減税が控えており、新商品投入でビール回帰の流れに乗りたい考えだ。