紅麴は毒作る菌も、日本では無毒の菌を利用 健康食品で近年注目

健康被害が相次いで報告されている小林製薬の「紅麹(こうじ)コレステヘルプ」。紅麴そのものは広く食用に使われてきた一方で、海外では過去に紅麴を使ったサプリメント摂取が原因と疑われる健康被害も報告されていた。紅麴とはいったい、どのようなものなのか。 【写真】「紅麹コレステヘルプ」に使われている紅こうじ  紅麴は、蒸した米に紅麴菌を混ぜ入れ、発酵させたもの。発酵で赤い色素が生まれる。伝統的に、中国の酒や沖縄の「豆腐よう」などを作るのに使われてきた。  近年は、悪玉コレステロールとも呼ばれる、血中のLDLコレステロールを下げる作用が期待される成分が紅麴に含まれていることなどから、健康食品の素材としても使われるようになった。  食品安全委員会によると、欧州では、紅麴で発酵させた米に由来するサプリメントの摂取が原因と疑われる健康被害が報告されている。欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は2014年、紅麴菌が作り出す有毒な化学物質「シトリニン」について、基準値を設定しサプリメントを規制した。19年には、基準値をさらに引き下げ、規制を強化している。また14年には、スイスは紅麴を成分とする食品の販売を禁止し、フランスはそうしたサプリメントを利用する際は医師に相談するよう呼びかけた。  ただ、小林製薬では、シトリニンを作らない菌株を使っていたといい、2月に行った原料全ロットの分析でもシトリニンは不検出だった。  同社は16年にグンゼから、紅麴に関する製造販売事業を譲り受けた。伝統的固体発酵法による大量培養の製法を開発。紅麴菌を米に植え付けて培養し、加熱して粉砕し保管。成分が一定になるよう混合した上で再加熱し、包装して紅麴原料を完成させていた。原料の製造は自社工場で、サプリは協力工場に原料を供給して作っていたという。  同社が「紅麹コレステヘルプ」を発売したのは21年。紅麴由来の成分を関与成分とした機能性表示食品は制度発足以来初めてだった。  製造した紅麴原料は、サプリメント用のほかに食品や食品の着色、風味付け用として企業向けに販売していた。同社によると、食品用の原料はサプリメント用とは別種で、健康被害に関連するとみられている未知の成分は見つかっていないという。  紅麴菌由来の製品では、食品添加物のベニコウジ色素があり、幅広く食品に使われている。ただし、これは紅麴菌の培養液から抽出した色素で、問題になっている紅麴原料とは別のもの。食品衛生法に基づく食品添加物公定書で不純物の上限など規格基準が定められている。(大村美香、寺田実穂子)

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