「働かないおじさん」より悪影響かもしれない「特権意識が強い上司」の正体

根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売即重版が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

〈パワハラや嫌がらせの連鎖を目にするたびに、「自分がされて嫌だったのなら、同じことを他人にしなければいいのに」と私は思う。だが、残念ながら、そういう理屈は通用しないようだ。

むしろ、「自分は理不尽な目に遭い、つらい思いをした」という被害者意識が強いほど、自分と同じような体験を他の誰かに味わわせようとする。これは主に二つの理由によると考えられる。まず、「自分もやられたのだから、やってもいい」と正当化する。また、自分がつらい思いをした体験を他の誰かに味わわせることによってしか、その体験を乗り越えられないのかもしれない。〉(『職場を腐らせる人たち』より)

話題書『職場を腐らせる人たち』では、根性論を持ち込む上司、過大なノルマを部下に押しつける上司、言われたことしかしない若手社員、完璧主義で細かすぎる人、あれこれケチをつける人、八つ当たり屋、特定の部署にこだわる人、いつも相手を見下す人、相手によって態度を変える人、他人のせいにする人、不和の種をまく人、他人の秘密を平気でばらす人、その場にいない人の悪口を言う上司、陰で足を引っ張る人、ストーカー化する人、といった15の実際のケースを取り上げている。

字面を見るだけで、「いるいる!あるある!」というものばかりかもしれない。

なかでもやっかいなのは、相手によって態度を変える人かもしれない。

〈特権意識が強い上司ほど、自分の暴言や罵倒で部下がどれほど傷つき、つらい思いをするかに想像力を働かせることができない。いや、それどころか想像してみようとさえしない。想像力が欠如しているからこそ、感情に任せて暴言を吐き、罵倒し続けるのだろう。

もっとも、想像力の欠如を無自覚に露呈させるのは”下”に対してだけである。逆に、”上”に対しては、自分の言動がどう受け止められるか過剰ともいえるほど警戒し、不快感や反感をかき立てないよう慎重にふるまう。”上”からどう見られるかが最大の判断基準になっているからであり、そのおかげか”上”から気に入られ出世することも少なくない。〉(『職場を腐らせる人たち』より)

〈相手によって態度を変える人は、方針もコロコロ変えることが多い。朝令暮改も日常茶飯事なのだが、これは”上”から気に入られることしか考えていないからだろう。”上”からちょっと言われただけで、それまでの方針を百八十度転換することもある。そのため、こういうタイプを上司に持つと、部下は振り回されてばかりで、本当に苦労する。

指示が行き当たりばったりで、一貫性がなく、すぐに方針が変わる一因として、自信がないこともある。おくびにも出さないが、実は「この方針で大丈夫だろうか」とびくびくしているからこそ、指示が二転三転する。朝令暮改の上司ほど「状況が変わったんだから、臨機応変に対応しないといけない」と正当化するが、そのたびに右往左往する部下のほうはたまったものではない。〉(『職場を腐らせる人たち』より)

つづく「どの会社にもいる「他人を見下し、自己保身に走る」職場を腐らせる人たちの正体」では、「最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみ」「職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく」という著者が問題をシャープに語る。

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